前腕(橈骨・尺骨)の骨折

橈骨・尺骨の骨折

前腕に直達外力が作用した場合は横骨折になります.しかし,受傷時に前腕に回転(捻転)性の介達外力が作用すると斜骨折らせん骨折になります.そして骨折に脱臼を合併することがあります.

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ガレアッチ骨折

橈骨骨折に伴い短縮転位を起こし,尺骨頭(遠位端)の脱臼が合併した状態です(橈骨骨折+尺骨頭脱臼).

橈骨を単独で骨折した場合は,尺骨が支柱の役割をして安定性が確保されるため保存療法が選択されることが多い傾向です.しかし,ガレアッチ骨折の場合は,尺骨脱臼により安定性にかけるためプレート固定などの手術が適応となります.

 

モンテジア骨折

尺骨骨折と橈骨頭の脱臼(肘関節)が合併した状態です(尺骨骨折+橈骨頭脱臼).

転位の少ない尺骨の単独骨折では保存療法が選択されます.しかし,尺骨骨幹部は橈骨に比べ細く整復後の接触面が小さくなるため,転位が大きい場合はプレート固定などの手術を実施します.また,モンテジア骨折では骨折を整復すると自然に橈骨頭も整復されます.

 

橈骨骨折

橈骨遠位端骨折

高齢者が転倒して手をついた場合に,手部からの介達外力によって発生する骨折です.高齢者に発生する頻度の高い骨折で骨の脆弱性(骨粗鬆症)を基盤とする骨折です.若年者でもスポーツ中の事故などで発生することはありますが,圧倒的に高齢者に多い骨折です.

 

コーレス(Colles)骨折

コーレス骨折は転倒時に手掌面をついた場合に発生する頻度の高い骨折です.一般的には骨折線は橈骨遠位端から1-3cmで掌側から背側方向に向かいます.遠位骨片は背側に転位します.

正中神経麻痺Sudeck(ズーデック)骨萎縮を併発する可能性があります.

Sudeck骨萎縮

受傷による腫脹と循環障害により発生する骨萎縮をSudeck骨萎縮といいます.複合性局所疼痛症候群の症状です.

 

スミス(Smith)骨折

スミス骨折は転倒時に手背面をついた場合に発生する骨折です.骨折線は背側から掌側方向に向かい,遠位骨片は掌側に転位します.コーレス骨折と比較すると発生頻度は低い傾向です.正中神経麻痺を合併することがあります.

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バートン(Barton)骨折

バートン骨折は橈骨遠位端の関節内骨折です.骨片が背側に転位したものを背側バートン骨折,掌側に転位したものを掌側バートン骨折といいます.関節包や関節周囲軟部組織の損傷があるため手術が実施する場合が多い傾向です.

 

参考文献

・井樋栄二ほか:標準整形外科学 第14版.医学書院.

・立花勝彦ほか:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 整形外科学 第4版.医学書院.

 




-整形外科

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