骨格筋(前腕前面)|起始・停止・支配神経を徹底攻略

前腕前面の筋は手関節や手指の屈曲および前腕回内に作用します。これらの筋は上腕・前腕の内側に付着し、尺側手根屈筋以外は正中神経に支配されます(深指屈筋は正中神経と尺骨神経の2つの神経に支配されます)。

 

円回内筋

起始と停止

円回内筋の上腕骨内側上顆(上腕頭)および尺骨鉤状突起(尺骨頭)から橈骨外側面に付着します。起始部の上腕頭と尺骨頭の間を正中神経が通過します。

ココがポイント

上腕頭と尺骨頭で正中神経が絞扼や圧迫された場合を円回内筋症候群といいます。

作用

前腕回内と肘関節屈曲に作用します(肘関節屈曲への作用は弱い)。回内には常に方形回内筋が主に作用しますが、円回内筋は速いまたは強い回内運動の時に方形回内筋に協力して作用します。

 

橈側手根屈筋

起始と停止

橈側手根屈筋は上腕骨内側上顆から第2・3中手骨底(掌側面)に付着します。円回内筋の内側に位置し、前腕中央部で筋腹は平たい腱になります。

作用

手関節の掌屈(屈曲)および橈屈に作用します。また、肘関節屈曲と前腕回内にもわずかに作用します。

触知

手関節を掌屈させると手関節前面で長掌筋の橈側に腱が浮き上がるのを確認することができます。

 

長掌筋

起始と停止

長掌筋は内側上顆から屈筋支帯・手掌腱膜に付着します。細長い紡錘状の筋で腱は細く薄い。腱は屈筋支帯の浅側を通過して手掌で扇状に広がり手掌腱膜となる。

ココがポイント

日本人の約1割は長掌筋が欠如しているといわれています。

作用

手関節の掌屈(屈曲)に作用します。また、手掌腱膜の緊張を高める作用もあります。

触知

母指と小指を対立させながら手関節を掌屈させると、手関節前面の正中線上に腱が浮き上がります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尺側手根屈筋

起始と停止

尺側手根屈筋は上腕骨内側上顆(上腕頭)と肘頭・尺骨後面(尺骨頭)から豆状骨・有鉤骨鉤・第5中手骨底に付着します。起始部の上腕頭と尺骨頭の下を尺骨神経が通過します。

作用

手関節の掌屈(屈曲)および尺屈に作用します。

 

浅指屈筋

起始と停止

浅指屈筋は上腕骨内側上顆・尺骨鉤状突起(上腕尺骨頭)と橈骨頭(橈骨前面)から第2-5指中節骨底(掌側面)に付着します。手関節付近で4つの腱に分かれ、屈筋支帯の深部を通過します。

作用

近位指節間関節(PIP関節)の屈曲に作用します。また、中手指節関節(MP関節)と手関節屈曲にも作用します。

 

深指屈筋

起始と停止

深指屈筋は尺骨軸・尺骨鉤状突起・前腕骨間膜から第2-5指末節骨底(掌側面)に付着します。深指屈筋は手関節付近で4つの腱となり浅指屈筋の深部を通過する。

作用

第2-5指の遠位指節間関節(DIP)の屈曲に作用する唯一の筋です。また、手関節と中手指節関節(MP関節)の屈曲を補助する働きがあります。

 

長母指屈筋

起始と停止

長母指屈筋は橈骨前面・前腕骨間膜から母指末節骨底に付着します。

作用

母指指節間関節(IP関節)の屈曲に作用する唯一の筋です。また、母指中手指節関節(MP関節)、母指手根中手関節(CM関節)、手関節屈曲を補助する働きがあります。

 

方形回内筋

起始と停止

方形回内筋は尺骨(前面の遠位部)から橈骨(前面の遠位部)に付着します。

作用

前腕回内の主導筋です。スピードや力が必要な場合は円回内筋の補助を受けます。

 

動画資料

 

 

参考文献



イラスト:りばおる(イラストAC)

 




-解剖学, 解剖学・運動学・生理学

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