静止電位と活動電位は、興奮伝導や興奮伝達を理解するために必要な基礎知識です。この記事ではPTS・OTSに必要な静止電位と活動電位を解説します!
細胞膜
細胞膜はリン脂質を主成分とする膜です。リン脂質は親水性の頭部と疎水性の尾部からなり、尾部を挟んだ脂質二重層になっています。
細胞膜にはタンパク質(受容体,チャネルなど)が散在しています。神経細胞や筋細胞は電気信号を発生する能力があり興奮性細胞と呼ばれます。細胞膜にあるタンパク質は電気信号を発生する場として重要な働きがあります。
静止電位
通常、細胞内にK+(カリウムイオン)が多く、細胞外はNa+(ナトリウムイオン)が多い状態です。細胞内と細胞外ではイオン濃度や組成の違いにより電位差が生じています。この電位差を膜電位といいます。
細胞が電気的な活動をしていない場合の膜電位を静止電位といいます。非興奮状態の細胞では細胞内は細胞外に対して電気的にマイナス状態になっています。
脱分極と再分極
細胞膜に刺激が加わると膜は興奮して膜電位は減少します。この膜電位が減少する(静止電位がゼロに近づく)現象を脱分極といいます。脱分極した状態は継続せず、元の状態(静止電位)に戻ろうとします。この元に戻ろうとする現象を再分極といいます。
活動電位
興奮初期
脱分極によって膜電位が一定値(閾膜電位:閾値)を超えるとNa+チャネルが開きNa+が細胞内に流入します。
その結果、細胞内は細胞外に比べ陽イオンが多くなり膜電位はプラス(オーバーシュート)になります。この電位変化を活動電位といいます。
全か無かの法則
閾値以上の刺激であれば、刺激の強度に関係なく活動電位の大きさは一定の反応を示します。この反応を全か無かの法則といいます。
興奮後期
活動電位がピークの直前からNa+チャネルは閉じ始め、Na+の流入が減少し膜電位は下降(再分極)します。活動電位が発生すると細胞内にNa+が多く、K+が少なくなります。Na+-K+ポンプの作用によりNa+を細胞外へ、K+を細胞内に取り込み静止電位の状態に戻ります。
不応期
活動電位発生直後の細胞は興奮性を失っています。そのため、刺激をしても活動電位は発生しません。この時期を絶対不応期といいます。
動画資料
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参考文献