腕神経叢とは…?
腕神経叢は第5-8頸髄および第1胸髄の前肢からなる神経叢です。
この5本の神経根は、前斜角筋と中斜角筋の間(斜角筋隙)を鎖骨下動脈と一緒に通過します。神経叢は中枢から神経根→神経幹→神経束の3部で構成されます。
さらに神経幹は上神経幹・中神経幹・下神経幹、神経束は外側神経束・内側神経束・後神経束に分かれます。
鎖骨上部と鎖骨下部
神経根と神経幹は鎖骨より上部に位置するため鎖骨上部と呼ばれます。神経束とそれより末梢部は鎖骨下部と呼ばれます。
鎖骨上部から枝分かれしている神経を鎖骨上枝、鎖骨下部から枝分かれしている神経を鎖骨下枝といいます。
鎖骨上枝
鎖骨上枝からは肩甲背神経・長胸神経・鎖骨下筋神経・肩甲上神経の4つの神経が分枝します。
肩甲背神経は大・小菱形筋・肩甲挙筋、長胸神経は前鋸筋、鎖骨下筋神経は鎖骨下筋、肩甲上神経は棘上筋・棘下筋を支配します。
鎖骨下枝
外側神経束
外側神経束からは外側胸筋神経と筋皮神経が分枝します。
外側胸筋神経は大胸筋・小胸筋を支配します。
筋皮神経は烏口腕筋・上腕二頭筋・上腕筋に筋枝を出します。そして、肘関節付近で皮下に向かい外側前腕皮神経なって前腕外側および前面外半の皮膚に分布します。
内側神経束
内側神経束からは内側胸筋神経・内側上腕皮神経・内側前腕皮神経・尺骨神経が分枝します。そして、外側神経束と内側神経束が合流して正中神経を形成します。
内側胸筋神経は大胸筋・小胸筋を支配します。内側上腕皮神経は上腕内側の皮膚、内側前腕皮神経は前腕内側の皮膚に分布します。
ココがポイント
内側上腕皮神経と外側前腕皮神経は筋枝を出さず骨格筋を支配しません。
正中神経・尺骨神経・橈骨神経は多数の骨格筋を支配しています。これらを整理して覚えるコツは下記のブログをご覧ください。
-
分類して覚えれば楽勝|正中神経・尺骨神経・橈骨神経が支配する骨格筋を覚えて点数アップ!
肘関節・手関節・指の運動を行う骨格筋の大部分は正中神経・尺骨神経・橈骨神経によって支配されています。PT・OT国家試験ではこれらの骨格筋と支配神経を組み合わせる問題が出題されます。 正中神経と尺骨神経 ...
続きを見る
後神経束
後神経束からは上肩甲下神経・胸背神経・下肩甲下神経・腋窩神経・橈骨神経が分枝します。
上肩甲下神経と下肩甲下神経は合流して肩甲下神経を形成します。上肩甲下神経は肩甲下筋、下肩甲下神経は肩甲下筋・大円筋を支配します。
胸背神経は広背筋、腋窩神経は三角筋・小円筋に筋枝を出します。そして、上外側上腕皮神経となって上腕上部の外側皮膚に分布します。
鎖骨上枝・下枝が支配する骨格筋