生理学基礎講座|膠質浸透圧

浸透圧

半透膜

水に塩を溶かすと塩水ができます。塩を溶かしている水(液体)を溶媒、水に溶けている塩を溶質と呼びます。溶媒は通すが溶質を通さない膜を半透膜といいます。

小さい分子は膜を通過しますが、大きい分子は通ることができません。

 

浸透圧

半透膜で仕切った容器に濃度の異なる液体を注ぎます。

すると溶質の濃度が高い方へ溶媒が吸い込まれます。

この力を浸透圧といいます。

 

膠質浸透圧

毛細血管も半透膜?

毛細血管の内皮細胞同士が接合する部分は約10nmの隙間があります。水分・電解質・栄養素などはこの隙間を通過して血管外へ出ることができます。しかし、アルブミンやグロブリンなどの血漿タンパクは分子が大きいためこの隙間を通過することができません。

血漿タンパク質にとって毛細血管壁は半透膜ということになります。

 

血漿タンパクの働き

血漿タンパクには①血管内に水分を保持する,②血管外に出た水分を組織液から血管内に吸い込む作用があります。この作用を膠質浸透圧といいます。膠質浸透圧は間質の水分を血管内に吸い込む(再吸収)力となり、組織での代謝によって発生したさまざまな老廃物を血管内に回収します。

 

血漿タンパクの減少で浮腫?

血液中の血漿タンパクが低下するとどうなるでしょうか?

 

血管内の水分を保持できず、血管外の水分を吸い込むこと機能が低下します(膠質浸透圧の低下)。すると血管内に水分を保持・吸収できないため間質液が増加します。それにより浮腫が発生します。

腎機能が低下すると血漿タンパク(特アルブミン)が尿中に放出されます。すると血管内の血漿タンパクは必然的に減少するため浮腫が発生します。これが腎機能の低下による浮腫のメカニズムです。

 

参考文献

 




-生理学, 解剖学・運動学・生理学

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