手根骨・指骨の骨折

手根骨の骨折

舟状骨骨折

手関節を背屈・橈屈位で転倒した場合に発生する頻度の高い骨折です.舟状骨骨折の約半数は中央部に発生します.また,舟状骨近位部への血液供給は不良のため骨癒合の遷延や壊死に陥りやすいく偽関節が発生します.

骨癒合までに時間を要するため,近年は非侵襲的手術(スクリュー固定)が実施されます.

 

有鉤骨鉤骨折

バットやゴルフクラブなどを握った状態でグリップからの強い外力により有鉤骨(鉤部)に発生する骨折です.転位が少ない場合は保存療法,骨癒合がえられないまたは早期のスポーツ復帰を希望する場合は鉤切除が行われます.

 

中手骨骨折

直達外力による骨折が多く,第1中手骨基部が好発部位です.特に第1中手骨の基部関節内骨折をベネットBennett骨折といいます.

ベネット骨折は母指先端からの強い外力が作用することで,第1中手骨骨折と脱臼が生じます.骨片は第1中手骨基部橈側に転移するため,母指は内転位になります.

 

指骨骨折

直達もしくは介達外力により指骨に骨折が発生します.指節骨折は開放骨折になり腱損傷を合併することがあります.

末節骨骨折では基部背側の剥離骨折により槌趾mallet finger)になります.また,中節骨の遠位部骨折では掌側凸変形を,近位部骨折では背側凸変形を呈します.基節部骨折は骨幹部に多く,掌側凸変形を呈します.

槌趾(mallet finger

伸筋腱が断裂することによりDIP関節の伸展が不能になります.さらに深指屈筋腱の作用が相対的に増大してDIP関節の屈曲変形が生じます.

 

参考文献

・井樋栄二ほか:標準整形外科学 第14版.医学書院.

・立野勝彦ほか:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 整形外科学 第4版.医学書院.




-整形外科

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