骨格筋（手指編）｜PT・OT国家試験対策講座

肩甲帯・肩関節・肘関節に作用する骨格筋に比べ，手指や手関節に関連する骨格筋の国家試験問題は神経支配や作用に関する問題が出題される傾向です．ここでは手指や手関節に関連する骨格筋について解説します．

手の筋（手外筋）

手外筋（外在筋）は手関節より近位に起始があり，手関節を超えて停止する筋です．掌側と背側に分けて覚えると効率的です．

掌側の筋

特徴

・正中神経と尺骨神経に支配される．

・手指の屈曲や手関節の掌屈に作用する（伸展や背屈に作用しない）．

・起始は上腕骨内側上顆に付着する（外側上顆に付着しない）．

起始・停止・神経支配

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手関節掌側で触れる腱

深指屈筋

深指屈筋は4つの腱に分かれ末節骨に付着します．DIP関節を屈曲させる唯一の筋です．そして橈側を正中神経，尺側を尺骨神経が支配する二重神経支配の筋です．

作用

掌側の全ての筋は手関節掌屈に作用します．そして橈側手根屈筋は橈屈，尺側手根屈筋は尺屈に作用します．

浅指屈筋・深指屈筋・長母指屈筋はMP関節，PIP関節の屈曲に作用します（深指屈筋のみDIPにも作用）．また，長母指屈筋は掌側内転にも作用します．

背側の筋

特徴

・橈骨神経に支配される．

・手指の伸展や手関節の背屈に作用する（屈曲や掌屈に作用しない）．

・起始は上腕骨外側上顆に付着する（内側上顆に付着しない）．

起始・停止・神経支配

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嗅ぎタバコ窩

母指を伸展・橈側外転した際にできる母指付け根のくぼみを嗅ぎタバコ窩といいます．嗅ぎタバコ窩はの尺側は長母指伸筋腱，橈側は長母指外転筋腱により構成されます．この部分で橈骨動脈の触知することができます．また，近位部には橈骨茎状突起，遠位部は中手骨底を触知することもできます．

作用

長・短橈側手根伸筋および尺側手根伸筋は手関節背屈に作用します．長・短橈側手根伸筋は橈屈，尺側手根伸筋は尺屈に作用します．

総指伸筋・示指伸筋・小指伸筋は手関節背屈，MP・PIP・DIP関節の伸展に作用します．長母指伸筋は背屈・橈屈・MP・PIP関節伸展に作用します．短母指伸筋は橈屈・MP関節伸展に作用します．長母指外転筋は掌屈と橈屈に作用します（母指CM関節への作用は後述）．

手の筋（手内筋）

手内筋（内在筋）は手関節より遠位に起始・停止する筋です．手内筋は母指球筋群，小指球筋群，中手筋群に分類されます．

母指球筋

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短母指屈筋

筋腹は浅頭と深頭に別れます．浅頭は正中神経，深頭は尺骨神経支配を受けます．また，この間を長母指屈筋腱が通過します．

作用

母指CM関節は鞍関節で他指に比べ特殊な運動を行います．

◯：主働筋　△：補助筋

小指球筋

小指球筋は尺骨神経に支配されます．

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中手筋

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虫様筋

虫様筋は第1-4に分かれます．第1-2虫様筋は正中神経，第3-4虫様筋は尺骨神経の支配を受けます．そしてMP関節に対しては屈曲，PIP・DIP関節に対しては伸展に作用します．

骨間筋

背側骨間筋は4つあり手指の外転に作用します．掌側骨間筋は3つあり手指の内転に作用します．

国家試験対策問題

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この資料は「中村隆一ほか：基礎運動学 第6版補訂．医歯薬出版株式会社」を参考に作成しました．

参考文献

・中村隆一ほか：基礎運動学 第6版補訂．医歯薬出版株式会社．

・坂井建雄ほか：解剖学．羊土社．

・野村嶬：解剖学 第5版．医学書院．