ギラン・バレー症候群とは?
急性に発症する末梢神経系の炎症性神経障害(下位運動ニューロン障害)です。原因は明確になっていませんが、自己免疫が関連している可能性があります。小児から高齢者までのどの年齢層でも発症し、男女比=3:2でやや男性に多い傾向です。
病型
脱髄型
軸索型
ココがポイント
欧米では脱髄型、日本を含むアジアでは軸索型が多いと言われています。
症状
約70%で発症数週間前に上気道感染、下痢などの先行感染(発熱・胃腸炎・感冒症状など)がみられることが報告されています。
ココがポイント
感染症には、カンピロバクター・ジェジュニ、サイトメガロウイルス、肺炎マイコプラズマなどが報告されています。
その後、手足のしびれや両側性弛緩性運動麻痺で発症、深部腱反射低下は(または消失)します。筋力低下は左右対称に下肢遠位部から始まり上行することが多い傾向です。感覚障害は運動障害に比べ比較的軽度です。
脳神経障害によりは顔面麻痺、球麻痺(構音障害,嚥下障害)、眼球運動障害、咽頭・喉頭筋麻痺が出現する場合があります。特に顔面神経障害の出現頻度が高い傾向にあります。
自律神経障害により徐脈、高血圧、起立性低血圧や神経因性膀胱がみられる場合があります。また呼吸筋麻痺により呼吸器による管理が必要になる場合もあります。
ココがポイント
髄液所見では蛋白は上昇するが細胞数に変化しない蛋白細胞解離(蛋白質上昇)が認められます。国家試験では頻出なので覚えましょう!
経過
症状は4週間以内にピークに達します。その後、数週間から数ヶ月で治癒することが多いを言われています。再発率は2-5%程度で、再発と寛解を繰り返す多発性硬化症とは異なります。
中枢神経の脱髄疾患である多発性硬化症はこちらで確認 ↓
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多発性硬化症|PT・OT国家試験対策講座
多発性硬化症とは? 多発性硬化症は中枢神経(大脳,小脳,間脳,脳幹,脊髄)と視神経に炎症性の脱髄が多発することより発生します。 中枢神経系のさまざまな部分に脱髄が発生し(空間的多発性)、寛解と増悪を繰 ...
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治療
血漿浄化療法、経静脈的免疫グロブリン療法が実施されます。
リハビリテーション
急性期(進行期)
拘縮などの二次的合併症の予防のため、ポジショニングや関節可動域訓練を実施します。また、状態を確認しながら離床を進めます。症状が進行中の場合は、急激で強い運動負荷がかかるような動作や最大筋力の発揮は避ける必要があります。筋力の低下や回復の推移は、治療効果や回復状況の指標になるため定期的な測定を行い、時系列で変化を把握することが重要です。
呼吸器を使用している場合は、ナースコールなどのコミュニケーション手段を確保します。
回復期
症状の進行が停止したら、過用性筋力低下に注意しながら低負荷反復訓練で筋力増強、呼吸筋麻痺に対しては体位排痰法を実施します。疲労度や負荷量の調整が重要で、漸増抵抗運動による筋力強化は過用性筋力低下や筋損傷の可能性があるめ実施は控える。
動画資料