実習対策講座|ASIA分類:アメリカ脊髄損傷協会による脊髄損傷の神経学的分類のための国際基準

ISNCSCIは日本ではASIA分類(エイシア分類)と呼ばれ、米国脊髄損傷学会(American Spinal Injury Association;ASIA)が発表・改訂している評価尺度です。脊髄損傷の損傷高位と麻痺の重症度を評価することができます。評価は知覚検査・徒手筋力検査・仙髄領域の機能残存から構成されます。これらの結果をもとに知覚レベル、運動レベル、神経学的レベル、麻痺(完全or不全)、機能障害スケール、部分残存領域を判定します。

 

感覚スコアと感覚レベル

検査部位と検査項目

左右の皮膚髄節28領域に触覚痛覚の感覚を検査します。

 

判定方法

消失を0、鈍麻を1、正常を2の3段階で評価する。評価不能の場合はNT(not stable)とする。すべて正常であれば112点(左右各56点満点)です。

 

感覚サブスコア

左右の触覚合計点と痛覚合計点を記載します。

 

感覚レベル

感覚レベルは触覚・痛覚がともに2点(正常)である最下位の髄節です。

 

運動スコアと運動レベル

key muscle

上肢5筋と下肢5筋の筋力を検査する。検査は全て背臥位で実施します。

 

判定方法

0(zero)から5(normal)の6段階(徒手筋力検査)で評価します。評価不能の場合はNTとします。正常であれば100点(左右各50点満点)です。

 

運動サブスコア

 

神経学的損傷レベル

脊髄損傷後どの髄節レベルまでが正常かを示します。左右の感覚レベルと運動レベルを記載します。

両側の感覚と運動レベルが正常な最下位位髄節が神経学的損傷レベルです。

 

完全麻痺か不全麻痺か

仙髄領域機能残存の有無で完全麻痺か不全麻痺を判断します。検査項目は①肛門の随意収縮②S4/5領域の触覚・痛覚③肛門の深部圧覚です。

 

①-③の機能が全て消失している場合は完全麻痺、少しでも機能が残存している場合は不全麻痺とします。

 

完全麻痺はcomplete、不全麻痺はIincompleteです。

 

ASIA機能障害スケール(ASIA Impairment Scale;AIS)

神経学的レベルおよび仙髄領域の完全/不全麻痺かに基づき機能障害をA(完全麻痺)からE(正常)の5段階に分類します。

グレード

内容

A S4/5領域の運動と知覚機能の完全喪失
B 神経学的レベルより下位の知覚機能はS4/5領域を含みいくらか残存

運動機能は左右どちらかの側にも運動レベルより下位に3レベルを超えて残存しない

C 神経学的レベルより下位に運動が残存(麻痺域のkey muscleの半数以上が筋力3未満)
D 神経学的レベル以下に運動が残存(麻痺域のkey muscleの半数以上が筋力3以上)
E 運動・知覚ともに正常

ココがポイント

AISはFrankel分類を改訂したもので、①完全麻痺の定義が明瞭化、②CとDの区別が明確になりました。

 

部分的残存域

神経学的レベル以下に感覚機能・運動機能が部分的に残存していれば最下位の髄節を記載します。

 

動画資料

 

参考文献

 

 

 




-評価法

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