指定規則改正
理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則が改正されました(2020年).それに伴い,臨床実習も大幅に変更されました.
- 最低履修時間の設定(PT:3120時間以上,OT:3150時間以上)
- 1単位の時間数の見直し(実習時間外の課題も含め1単位45時間以内)
- 臨床実習指導者の要件変更
最低履修時間の設定や1単位の時間数の見直しなどは学生のみなさんにも周知されつつあります.ここでは臨床実習指導者の要件変更について説明します.一応,私は要件を満たしています(講習会の内容も熟知していると方だと思います).
臨床実習指導者要件の変更
改正前
「臨床実習指導者は…(中略),免許を受けた後3年以上業務に従事した者であること」
改正後
「実習指導者は,理学療法,作業療法に関し相当の経験を有する理学療法士,作業療法とし,免許を受けた後5年以上業務に従事した者であり,かつ,厚生労働省が指定した臨床実習指導者講習会等を修了した者とする」
臨床実習指導者の要件は上がりました.気になるのは指導者講習の内容です.
臨床実習指導者講習
講習は2日間計16時間のプログラムが組まれています.今年度は新型コロナウイルス の影響で対面での講習は全国的に実施されていません.web(ZOOM)を用いた代替えの講習が認められ,各都府県士会で実施されつつあります.
講義(5.5時間)
臨床実習制度,臨床実習指導方法論,ハラスメント防止,学生評価,多職種連携・チームワーク論など30-60分の講義を聴講します.テーマごとに講師によりスライドを用いた講義が行われます.講義資料は全国で統一されているため,どこで受講しても内容は同じです.
演習(10.5時間)
各テーマの講義が終了すると演習(グループワーク)に移ります.講義の内容について10人のグループに分かれディスカッションを行います.演習には世話人と呼ばれる運営スタッフが1名加わり,グループワークが円滑に進むようにします.
個人的な感想
あくまで個人的な感想です.
学生評価の適正化
臨床実習の評価は学校だけでなく,指導者も評価を行います.そのため,指導者により視点が異なることがありました.学生評価について全国で統一した内容の講習を受講しているので,指導者間の評価視点の相違は少なくなると思います.
実習の目的・意義の明確化
協会により実習の手引きなどが発行されていますが,すべての指導者は読んでいないと思います.目的や意義を明確に理学療法や作業療法を進めると,介入効果が大きいです.同じように学生,指導者が共通の目的や意義を明確にすることで臨床実習の学習効果は高くなると思います.
ハラスメント防止
講義ではハラスメントについて深く考えます.これは学生,指導者双方の身を守ることにもつながります.「ハラスメントをしない!されない!」と強く認識すると思います.
学生のみなさんへ
臨床実習にネガティブな印象を持っている人もいると思います.
このブログでは実習指導者と記載をしてきました.しかし,最近はCE(clinical educator:臨床教育者)と呼ぶことが多くなっています.教育的視点を持って臨床の現場で学生を育成しようとしています.臨床実習は確実に良い方向に向かっています.
これから(2020年度以降)臨床実習を担当する理学療法士・作業療法士は自ら進んで講習に参加しています.後進の育成に尽力しようとする先輩理学療法士・作業療法士の教育スキルは確実に向上しています.
希望を持って,臨床実習で多くのことを学んで下さい.
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