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解剖学
問題51
外胚葉から発生するのはどれか。
1.筋
2.子宮
3.甲状腺
4.消化管
5.松果体
+ 解説
解答:5
解説
外胚葉からは皮膚・感覚器・神経系、中胚葉からは循環器・骨・筋・生殖器・泌尿器、内胚葉からは消化器・呼吸器・尿路が形成されます。
1・2.筋と子宮は中胚葉由来です。
3・4.甲状腺と消化管は内胚葉由来です。
合わせて覚える:副腎髄質(外胚葉)・副腎皮質(中胚葉)・甲状腺(内胚葉)・副甲状腺(内胚葉)
問題52
ミオシンフィラメントが存在するのはどれか。2つ選べ。
1.A 帯
2.H 帯
3.I 帯
4.Z 帯
5.筋 節
+ 解説
解答:1・2、1・5、2・5(複数の正解があるため複数の選択肢を正解とする:厚生労働省発表)
解説
太いフィラメントがミオシンフィラメント、細いフィラメントがアクチンフィラメントです。
問題53
肩甲背神経に支配される筋はどれか。
1.肩甲挙筋
2.鎖骨下筋
3.前鋸筋
4.僧帽筋
5.菱形筋
+ 解説
解答:1・5(複数の正解があるため複数の選択肢を正解とする:厚生労働省発表)
解説
1.肩甲挙筋は肩甲背神経と頸神経に支配される。
2.鎖骨下筋は鎖骨下筋神経に支配される。
3.前鋸筋は長胸神経に支配される。
4.僧帽筋は頸神経と副神経に支配される。
問題54
脳神経と支配筋の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.動眼神経 ――― 眼輪筋
2.三叉神経 ――― 咬筋
3.顔面神経 ――― 広頸筋
4.舌咽神経 ――― 舌筋
5.副神経 ――― 側頭筋
+ 解説
解答:2・3
解説
1.眼球運動を起こす筋を外眼筋といいます。外眼筋を支配する神経は動眼神経(第Ⅲ脳神経)・滑車神経(第Ⅳ脳神経)・外転神経(第Ⅵ脳神経)です。
神経 |
支配筋 |
動眼神経 |
上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋・上眼瞼鋸筋 |
滑車神経 |
上斜筋 |
外転神経 |
外側直筋 |
毛様体筋は内眼筋(平滑筋)で自律神経に支配されます。
2.三叉神経は咀嚼筋(内側翼突筋・外側翼突筋・咬筋・側頭筋)を支配します。
3.顔面神経は眼輪筋・表情筋・広頸筋・アブミ骨筋を支配します。
4.舌咽神経は咽頭筋(嚥下運動)を支配します。舌筋は舌下神経に支配されます。
5.副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配します。
問題55
ドーパミンが主に神経伝達物質となっている部位はどれか。
1.黒 質
2.視 床
3.小 脳
4.脳 梁
5.前頭葉
+ 解説
解答:1
解説:ドーパミンは中脳・視床下部に多く存在しています。運動の制御や精神活動などに関与し、伝達機能異常によりパーキンソン病や統合失調症の発症に関連します。
問題56
反回神経で正しいのはどれか。
1.味覚を伝える。
2.交感神経線維を含む。
3.横隔神経から分枝する。
4.輪状甲状筋を支配する。
5.左側の走行は右側よりも長い。
+ 解説
解答:5
解説
反回神経(下喉頭神経)は迷走神経から分岐する神経です。右側は鎖骨下動脈の後方を、左側は大動脈弓の後方をくぐって上行して喉頭筋(輪状甲状筋を除く:上喉頭神経支配)を支配します。また声帯より下方の喉頭粘膜の感覚を司ります。
1.味覚を伝えるのは顔面神経(舌前2/3)と舌咽神経(舌後1/3)です。
2・3.迷走神経から分岐するため副交感神経を含みます。
4.輪状甲状筋は上喉頭神経に支配されます。
5.左反回神経は大動脈弓をくぐって上行するため右反回神経より長くなります。
問題57
左右一対あるのはどれか。2つ選べ。
1.総頸動脈
2.椎骨動脈
3.脳底動脈
4.腕頭動脈
5.前交通動脈
+ 解説
解答:1・2
解説
1.総頸動脈は右と左があり右総頸動脈は腕頭動脈、左総頸動脈は大動脈弓から分岐します。
2・3.椎骨動脈は鎖骨下動脈より分岐して、第6頸椎から第1頸椎の横突孔を上行します。左右の椎骨動脈は脳幹(延髄と橋の境界部)の腹側で合流して脳底動脈になります。
4.腕頭動脈は大動脈弓から分岐する動脈です。気管前方を右上方へ上行して右胸鎖関節の後方で右総頸動脈と右鎖骨下動脈に分かれます。
5.前交通動脈は左右の前大脳動脈をつなぐ交通枝です。
問題58
呼吸器で正しいのはどれか。
1.気管支は下気道に含まれる。
2.輪状軟骨は弾性軟骨である。
3.気管の長さは約20cmである。
4.咽頭の下端はC8の位置にある。
5.気管の延長線に対する分岐角度は左気管支より右気管支の方が大きい。
+ 解説
解答:1
解説
1.空気の経路である気道は鼻腔→咽頭→喉頭→気管支→肺胞と続きます。鼻腔から喉頭までを上気道、喉頭以下を下気道に分けられます。
2.喉頭には喉頭蓋軟骨・甲状軟骨・輪状軟骨(無対)と披裂軟骨・小角軟骨・楔状軟骨(有対)の9個の軟骨があります。
硝子軟骨 |
関節軟骨・肋軟骨・喉頭軟骨(喉頭蓋軟骨を除く)・気管支軟骨など |
弾性軟骨 |
耳介軟骨・喉頭蓋軟骨 |
線維軟骨 |
椎間円板・恥骨結合・関節円板・関節半月 |
3.気管は約10cmの管で食道の前方を通り、第5胸椎の高さで左右の気管支に分岐します。
4.咽頭は気道と消化管の交差部で頭蓋底から第6頚椎までの約12cmの筋性の管です。
5.右気管支は左気管支よりも太く・短い、また垂直に近い傾斜となっています。
問題59
視覚器で誤っているのはどれか。
1.虹彩と水晶体の間を前眼房という。
2.眼房水は毛様体上皮から産生される。
3.眼房水は強膜静脈洞へ吸収される。
4.毛様体筋が収縮すると毛様体小体は弛緩する。
5.毛様体小体が弛緩すると水晶体は厚くなる。
+ 解説
解答:1
解説
1.角膜と虹彩の間を前眼房、虹彩・毛様体と水晶体の間を後眼房といいます。
2.前眼房と後眼房は毛様体から分泌されるリンパ液の一種である眼房水で満たされています。角膜と水晶体は眼房水に栄養されています。
3.毛様体から分泌された眼房水は隅角を通り強膜静脈洞で吸収されて毛様体静脈へ運ばれます。
4・5.毛様体の内部には毛様体筋(平滑筋)があり水晶体の厚さを調整します。毛様体が収縮すると毛様体が膨らみ、毛様体と水晶体を連結する毛様体小体が弛緩して水晶体の厚みが増します。
問題60
右上肢を右外側より見た図を示す。
腕橈骨筋のすぐ尺側で矢印部を走行する筋はどれか。
1.示指伸筋
2.小指伸筋
3.総指伸筋
4.長橈側手根伸筋
5.長母指伸筋
+ 解説
解答:4
解説
腕橈骨筋→長橈側手根伸筋→橈側手根伸筋→総指伸筋の順に走行します。
1.示指伸筋は尺骨・前腕骨間膜後側面から第2指の指背腱膜に付着します。
2.上腕骨外側上顆から第5指の指背腱膜に付着します。
3.総指伸筋は上腕骨外側上顆から第2-5指の指背腱膜を通して末節骨底に付着します。
4.橈側手根伸筋は上腕骨外側上顆から第2中手骨底の背側面に付着します。
5.長母指伸筋は尺骨・前腕骨間膜後側面から母指末節骨底の背側面に付着します。
生理学
問題61
伸張反射で正しいのはどれか。
1.侵害受容反射である。
2.多シナプス反射である。
3.求心性線維はIa群線維である。
4.α 運動線維は筋紡錘内の錘内線維を支配する。
5.γ 運動線維は伸張された筋の拮抗筋を支配する。
+ 解説
解答:3
解説
伸張反射:筋の急激な筋の伸張(刺激)→筋紡錘(受容器)→Ⅰa線維(求心性線維)→α線維(遠心性線維)→筋収縮の順に起こる反応です。
1.侵害受容反射は痛みなどを起こす刺激(侵害刺激)により生じる反射で逃避反射とも呼ばれます。逃避反射は受容器と効果器の間に2つ以上のシナプスが存在する形態の反射です。
2.伸張反射はⅠa線維を介してα線維にシナプスを形成(1回だけ)するので単シナプス反射ともいいます。
4.α運動線維は錘外筋を支配する運動ニューロンです。
5.γ運動線維は錘内筋(筋紡錘)を支配する運動ニューロンです。
問題62
運動単位で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.運動単位には求心性線維が含まれる。
2.筋を徐々に収縮すると大きな運動単位が先に活動を始める。
3.筋が収縮する際に運動単位の数が増加していく過程を動員という。
4.細かい動きが要求される筋は一つの運動ニューロンが支配する筋線維数が多い。
5.一つの運動ニューロンを刺激すると、その支配下にある筋線維が同時に収縮する。
+ 解説
解答:3・5
解説
1つのα線維(運動ニューロン)とそれが支配する筋線維をまとめて運動単位といいます。
1.運動単位に含まれる神経線維は運動ニューロンです。
2.収縮力が弱い時は興奮閾値の低い小型のニューロンが発射され、収縮力の増大に伴い順次閾値の高い大型のニューロンが発射するようになります。これをサイズの原理といいます。閾値の低い活動単位は遅筋(赤筋)、閾値の高い活動単位は速筋(白筋)です。
4.1つのα運動ニューロンが支配する筋線維数の比を神経支配比といいます。神経支配比は眼球や手指の運動など巧緻的な運動をする筋ほど小さく、体幹や下肢など粗大な運動をする筋ほど大きくなります。
問題63
副交感神経の機能を持つのはどれか。
1.横隔神経
2.骨盤神経
3.舌下神経
4.内耳神経
5.肋間神経
+ 解説
解答:2
解説
副交感神経は脳幹と仙髄から起こる神経です。脳幹から出る副交感神経は動眼神経・顔面神経・舌咽神経・迷走神経を通ります。仙髄から出る副交感神経は骨盤神経を通り直腸・膀胱・生殖器などの骨盤内臓器を支配します。
問題64
肺拡散能に影響を与えるのはどれか。2つ選べ。
1.ヘモグロビン
2.死腔換気量
3.肺胞表面積
4.気道抵抗
5.残気量
+ 解説
解答:1・3
解説
拡散とは濃度差により物質が移動(濃度の高い方から低い方へ)する性質です。
1.ヘモグロビンは赤血球に含まれるタンパク質で酸素と結合して、末梢組織に酸素を運搬する機能があります。そのためヘモグロビン量が減少すると肺拡散機能は低下します。
2.吸い込まれた空気の一部は肺胞まで達することなく気管や気管支に留まります。この空気を死腔といい、これらは血液とのガス交換に使われません。
3.肺胞の周囲には毛細血管が密に分布して空気と血液との間でO2とCO2のガス交換が行われます。左右の肺胞には合計2-6億個が分布していて、その表面積はテニスコートの広さに匹敵します。肺胞面積が減少するとガス交換面積が減少して拡散障害となります。
4.1秒量(肺活量検査で最初の1秒に呼出した空気量)/努力肺活量×100を1秒率といいます。気道抵抗が上昇すると1秒率はて減少します。
5.残気量は最大呼気後に肺内に残っている空気量です。残気量は約1ℓで肺拡散に影響を与えません。
問題65
線維素溶解系で働く因子はどれか。
1.カルシウムイオン
2.フィブリノゲン
3.プラスミノゲン
4.プロトロンビン
5.von Willebrand因子
+ 解説
解答:3
解説
血管の修復後に凝固した血液は線維素溶解(線溶)という機序によって取り除かれます。血液中のプラスミノゲンが組織中の組織プラスミノゲン活性化因子の作用によってプラスミンに変化してフィブリン線維を溶解して凝血塊を除去します。
問題66
免疫グロブリンで正しいのはどれか。
1.IgG は胎盤を透過する。
2.IgM は唾液に含まれる。
3.IgD は肥満細胞を活性化する。
4.IgA は血漿中に占める割合が最も多い。
5.T細胞が抗原の刺激を受けて産生する。
+ 解説
解答:1
解説
免疫グロブリン(immunoglobulin;Ig)はIgG・IgM・IgA・IgE・IgDの5つに分類されます。
IgG |
血液・体内中に最も多く、細菌・ウイルスに結合する。唯一、胎盤を通過できる。 |
IgM |
血液中にあり感染微生物に対して最初に産生される(初期免疫)。 |
IgA |
気道や消化管、分泌液や母乳に分布する。局所免疫に関与する。 |
IgE |
皮膚や気道に分布する。肥満細胞からヒスタミンを遊離させる。 |
IgD |
B細胞の抗原認識に関係する。 |
問題67
肝臓の機能で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.血球の産生
2.胆汁の貯蔵
3.尿素の生成
4.薬物の代謝
5.グルカゴンの分泌
+ 解説
解答:3・4
解説
1.血球成分は赤血球、白血球、血小板からなります。これらは骨髄の造血幹細胞で作られ循環血液中に放出されます。
2.胆汁は肝臓で産生され総肝管を通って胆嚢で濃縮されます。
3.タンパク質の分解産物であるアンモニアは肝細胞によって毒性の少ない尿素に変えられます。
4.経口投与された薬物は腸から吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれます。そこで肝細胞によって解毒を受けます。
5.グルカゴンは膵臓から放出されるホルモンです。肝臓はグルコースを血液中に放出させ血糖値の低下を防ぎます。
問題68
同一の臓器から分泌されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。
1.アルドステロン ―― エリスロポエチン
2.グルカゴン ―――― ガストリン
3.バソプレシン ――― オキシトシン
4.パラトルモン ――― カルシトニン
5.レニン ―――――― コルチゾール
+ 解説
解答:3
解説
1.アルドステロン(電解質コルチコイド)は副腎皮質、エリスロポリチンは腎臓・肝臓から分泌されます。
2.グルカゴンは膵臓(α細胞)、ガストリンは胃から分泌されます。
3.バソプレシンとオキシトシンは下垂体後葉から分泌されます。
4.パラトルモンは カルシトニンは甲状腺から分泌されます。
5.レニンは腎臓、コルチゾール(糖質コルチコイド)は副腎皮質から分泌されます。
問題69
エネルギー代謝で正しいのはどれか。
1.基礎代謝量は安静時代謝量より大きい。
2.安静時代謝量は体重減少により低下する。
3.呼吸商は糖質の燃焼が多くなると低下する。
4.代謝当量〈METs〉は基礎代謝量を基準にしている。
5.エネルギー代謝率〈RMR〉は安静時代謝量を基準にしている。
+ 解説
解答:2
解説
基礎代謝量(basal metabolic rate:BMR)は安静仰臥位で行われる臓器の活動によって消費されるエネルギーで、覚醒状態で生命活動を維持するために必要な最低限のエネルギー量です。安静時代謝量は(resting metabolic rate:RMR)は安静状態の座位で測定されるエネルギー消費量です。
1.安静時代謝量は安静座位で測定されるため、姿勢保持による筋緊張が基礎代謝量に加わるため基礎代謝量に比べ1.2倍程度大きくなります。
2.基礎代謝量や安静時代謝量は同性・同年齢であれば体表面積に比例します。
3.呼吸商(respiratory quotient:RQ)は単位時間内に発生するCO2量と、消費されるO2量の比(CO2量/ O2量)です。RQは代謝される栄養素により異なり、糖質では1.00、脂質では0.70、タンパク質では0.8となります。運動強度が強い場合は糖質が利用されるため1.0に近づき、有酸素運動では脂質の利用が増えるため0.7に近づきます。
4.代謝当量(metabolic equivalents:METs)は安静座位時の代謝量を1とした時の運動や作業時の代謝量を示します。
5.エネルギー代謝率は基礎代謝量を基準にした運動強度です。
運動学
問題70
筋と下顎の運動の組合せで正しいのはどれか。
1.咬筋 ――――――― 下制
2.顎二腹筋 ――――― 挙上
3.外側翼突筋 ―――― 前突
4.内側翼突筋 ―――― 後退
5.オトガイ舌筋 ――― 側方移動
+ 解説
解答:3
解説
1.咬筋は下顎骨を挙上させ歯を噛み合わせる運動(閉口)に作用します。
2.顎二腹筋は舌骨を引き上げる、下顎骨を引き下げる(開口)に作用します。
3.外側翼突筋は両側が収縮すると下顎骨を突き出し開口します。一側の収縮で下顎骨を対側へ動かします。
4.内側翼突筋は両側が収縮すると下顎骨を挙上させ閉口します。一側の収縮で下顎骨が対側に運動します。
5.オトガイ筋はオトガイ部の皮膚を挙上、下唇を突き出し小さなくぼみを作ります。
問題71
手の運動で正しいのはどれか。
1.橈骨手根関節の運動軸は2つである。
2.PIP関節の側副靱帯は伸展位で弛緩する。
3.手関節背屈には長母指外転筋が作用する。
4.手関節橈屈の可動域は前腕回外位より回内位で大きい。
5.対立運動における横アーチの変化には第2CM関節が関与する。
+ 解説
解答:1
解説
1.橈骨手根関節は2軸性の楕円関節です。
2.PIP関節にある側副靭帯は過伸展と外転−内転を抑制する作用を持っています。MP関節にある側副靭帯は屈曲で緊張して関節を安定させ、伸展時に緩み内外転運動を可能にします。
3.手関節背屈には長橈側手根伸筋・短橈側手根伸筋・尺側手根伸筋が作用します。長母指外転筋は手関節掌屈および橈屈の補助動筋の作用があります。
4.手関節橈屈運動は回内位よりも回外位の方が可動域が大きくなります。また、手関節掌屈・背屈位での橈屈や尺屈は靭帯の緊張により制限されます。
5.母指対立運動による横アーチの増減には第4・5CM関節が関与します。第2・3CM関節にはほとんど可動性はありませんが、第4・5CM関節には若干の可動性があります。
問題72
足関節で正しいのはどれか。
1.距腿関節は2度の運動自由度をもつ。
2.後脛骨筋は外がえしの共同筋である。
3.ヒラメ筋は足部内がえしに作用する。
4.足根中足関節の主な運動は滑りである。
5.立方骨は内側縦アーチを構成する骨の一つである。
+ 解説
解答:4
解説
1.距腿関節は1軸性のラセン関節です。
2.後脛骨筋は底屈・内がえしに作用する筋です。
3.ヒラメ筋は足関節の底屈に作用する筋です。
4.足根中足関節は外科的切断部位としてリスフラン関節とも呼ばれています。この関節は滑り運動が主で、わずかの底屈−背屈・内転−外転が可能です。
5.外側縦アーチは踵骨−立方骨−第5中足骨で構成されます。内側縦アーチは踵骨−距骨−舟状骨−内側楔状骨−第1中足骨で構成されます。
問題73
片側の筋収縮と体幹運動の組合せで正しいのはどれか。
1.外腹斜筋同側への側屈
2.脊柱起立筋対側への側屈
3.内腹斜筋対側への回旋
4.腹直筋対側への回旋
5.腰方形筋同側への回旋
+ 解説
解答:1
解説
1.外腹斜筋は両側が収縮すると体幹屈曲に作用します。一側のみが収縮すると同側の体幹側屈と対側の体幹回旋に作用します。
2.脊柱起立筋は
3.内腹斜筋は両側が収縮すると体幹屈曲に作用します。一側のみが収縮すると同側の体幹側屈・回旋に作用します。
4.腹直筋は両側が収縮すると体幹屈曲に作用します。一側のみが収縮すると同側の体幹側屈に作用します。
5.腰方形筋は両側が収縮すると腰部伸展に作用します。一側のみが収縮すると同側の体幹側屈または骨盤挙上に作用します。
問題74
健常成人の歩行で重心が最も高くなる時期はどれか。
1.初期接地
2.荷重応答期
3.立脚中期
4.立脚終期
5.前遊脚期
+ 解説
解答:3
解説:上下の重心位置は立脚中期に最高、踵接地で最低で振幅が約4.5cmの正弦曲線を描きます。左右の重心位置は立脚中期が限界で、振幅が約3.0cmの正弦曲線となります。
その他(医学分野・リハ概論など)
問題75
病因のうち化学的要因はどれか。
1.熱
2.圧 力
3.紫外線
4.放射線
5.アスベスト
+ 解説
解答:5
解説
病因の化学的要因は酸・アルカリ・硫黄酸化物・窒素酸化物・金属・鉱物・薬剤・農薬・喫煙・アルコールなどです。アスベストは化学的発癌物質に分類されます。熱・紫外線・放射線・圧力(外力)・気圧・電流などは物理的要因です。
問題76
末梢血管抵抗が低下するショックをきたす病態はどれか。2つ選べ。
1.アナフィラキシー
2.消化管出血
3.心筋梗塞
4.心タンポナーデ
5.敗血症
+ 解説
解答:1・5
解説
血管抵抗は血液の流れにくさを表します。血管抵抗の大きさは血管半径の4乗に反比例し、血管壁の平滑筋が収縮することによって血管が細くなり抵抗は上昇します。
末梢細動脈の拡張により末梢血管抵抗減少と静脈拡張により心臓への還流血液量が減少するショックを血管運動失調性ショックといいます。血管運動失調性ショックには敗血症性ショック、アナフィラキシーショック、神経性ショックなどがあります。
問題77
咳をしたときに生じる尿失禁はどれか。
1.溢流性
2.機能性
3.切迫性
4.反射性
5.腹圧性
+ 解説
解答:5
解説
1.溢流(いつりゅう)性失禁は尿排出障害によって残尿が増え膀胱が充満している状態のため少しずつ溢れ出している状態です。
2.機能性尿失禁は認知症や運動障害のためにトイレ以外で尿を漏らす状態です。膀胱や尿道に問題はありません。
3.切迫性尿失禁は蓄尿中に突然強い尿意が生じて、不随意に膀胱排尿筋が収縮して起こる尿失禁です。
4.反射性尿失禁は脊髄損傷などによって排尿中枢(S)より上位の中枢が損傷することにより起こる尿失禁です。膀胱内に蓄積した尿が刺激になり不随意に引き起こされます。
5.腹圧性尿失禁は咳やくしゃみなどの腹圧によって膀胱内圧が上昇することによって生じる尿失禁です。経産婦や高齢女性に多く骨盤底筋群の脆弱性が関与します。
問題78
左右対称のインクのシミでできた図版を順番に提示する検査はどれか。
1.バウムテスト
2.MMPI
3.P-Fスタディ
4.Rorschachテスト
5.WPPSI
+ 解説
解答:4
解説
1.バウムテストは「実のなる木」を描かせて人格分析をする描画法検査です。幼児以上の幅広い年齢で使用することが可能です。
2.MMPI(ミネソタ多面的人格目録)は550問の質問に「あてはまる」「あてはまらない」「どちらでもない」を選択する質問紙法です。
3.P-Fスタディ(絵画欲求不満テスト)はある場面が描かれた図版に、どのように対応するか空欄に書き込む検査です。児童用・青年用・成人用の3種類があります。
4.ロールシャッハテストは10枚の図板(左右対称のインクのシミ)を見せ、どのように見えるかを答えさせる検査です。知的側面と人格面を検査することができます。
5.WPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)は3歳10ヶ月から7歳を対象にした幼児向け知能検査です。
問題79
陽性転移はどれか。
1.医療者が患者に過剰な親近感を抱く。
2.医療者が患者に怒りの感情を示す。
3.患者が医療者に好意を寄せる。
4.患者が医療者を強く軽蔑する。
5.患者が医療者を嫌悪する。
+ 解説
解答:3
解説
患者が親や学校の先生などに示す感情や態度を治療者に向けることを転移といいます。好ましい感情を抱くことを陽性転移、ネガティブな感情を抱くことを陰性転移といいます。また、治療者が患者に治療者の生活史を反映する感情や態度を向けることを逆転移といいます。
問題80
他者の模範行動を観察して、自らの行動変容をきたすようにする治療法はどれか。
1.系統的脱感作法
2.行動活性化技法
3.マインドフルネス
4.モデリング法
5.問題解決技法
+ 解説
解答:4
解説
1.脱感作法は患者が避けようとする対象から逃げずに徐々に直面させることで、それらの恐怖(対象)に慣れさせる方法です。強迫神経症や恐怖性不安障害が対象です。
2.行動活性化技法はうつ病に用いられる技法です。①回避行動が抑うつ気分に随伴することを明らかにする→②回避行動に代わる能動的な行動をする→③能動的な行動により気分を上げることを体験する、能動的行動が気分を上げることを繰り返して気分を改善していく技法です。
3.「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義される心の使い方です。
4.モデリング法は治療者が行動パターン(手本)を示して、患者にその手本をモデリング(模倣)させ適切な行動パターンを学習させる方法です。
5.問題解決技法は、①問題の明確化→②解決方法をできるだけ多く抽出する→③解決方法のメリット・デメリットを考える→④メリットが多いものを実行する→⑤実行した結果を振り返る、この5つステップを繰り返して問題解決を図る方法です。
問題81
技法としてホームワーク〈宿題〉を用いるのはどれか。
1.支持的精神療法
2.精神分析療法
3.内観療法
4.認知行動療法
5.森田療法
+ 解説
解答:4
解説
1.支持的精神療法は患者の抱える症状や苦痛、悩みなどの訴えに対して共感・理解をして、助言を与え回復を促す療法です。
2.精神分析療法は自由連想などにより無意識のうちに抑圧されていた葛藤を意識化させ、洞察して解決に導く療法です。
3.内観療法は系統的に自己省察を行い個人の態度やパーソナリティの改善を目指す療法です。
4.認知行動療法は認知の歪み(不適切な行動や情緒など)を修正することによって行動の変容を図る療法です。技法の1つとしてホームワークが用いられます。
5.森田療法は入院治療が主体となり、第1期(絶対臥褥療法期)→第2期(隔離療法期)→第3期(作業療法期)→第4期(生活訓練機)の段階を踏みます。
問題82
ADLで正しいのはどれか。
1.環境要因によって影響を受ける。
2.IADLが概念の基礎となっている。
3.生活機能より包括的な概念である。
4.2000年代初頭に世界保健機関によって定義された。
5.評価スケールとしてFugl-Meyer Assessment scaleが用いられる。
+ 解説
解答:1
解説
2.IADL(instrumental activities of daily living)は手段的日常生活活動で、掃除や洗濯などADLで日常的に行う活動を指します。
3.ADLは日常生活を送るうえで最低限必要な日常的な動作(起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容)です。
4.2000年初頭(2001年5月)にWHO総会でICF(International Classification of Functioning Disability and Health)が採択されました。
5.Fugl-Meyer Assessment(FMA)は脳卒中片麻痺の総合評価です。