第51回 PT・OT国家試験(午前81-90)
午前81
技法としてホームワーク(宿題)を用いるのはどれか。
1.内観療法
2.森田療法
3.現存在分析
4.認知行動療法
5.精神分析療法
+ 解説
解答:4
1:内観療法は自己省察を行い個人の態度やパーソナリティの改善を目指す方法である。
2:森田療法は現在の状況をあるがままに受け入れ、不安や恐怖に打ち勝つことを目的とする方法である。
3:現存在分析は、現存在(患者)の変容を患者・治療者がともに考えていく方法である。
4:認知行動療法はカウンセリングで学んだことを実生活で実践・検証することを重視する。カウンセリング後に取り組む活動をホームワークorアクションプランといい治療計画に組み込む。
5:自由連想法により無意識のうちに抑圧されている葛藤を意識化させ、自己洞察を深める方法である。
午前82
長期の安静臥床によって上昇するのはどれか。
1.免疫能
2.耐糖能
3.静脈還流量
4.尿中カルシウム
5.クレアチニン・クリアランス
+ 解説
解答:4
1:長期臥床により免疫機能は低下する。
2:耐糖能は血糖値を正常に保つためにグルコースを処理する能力である。長期臥床により耐糖能は低下する。
3:長期臥床により静脈還流量は低下する。
4:長期臥床により骨吸収が増え、血中カルシウムが上昇する。その結果、尿中へ排出されるカルシウム量が増加する。
5:クリアランスは血液中に流れる物質が腎臓を通過することにより除去される割合を指す。長期臥床により筋肉量は減少し、クレアチニン・クリアランスも低下する。
午前83
Gerstmann症候群に認められるのはどれか。
1.健忘
2.失算
3.失構音
4.遂行機能障害
5.半側空間無視
+ 解説
解答:2
ゲルストマン症候群は失算・失書・手指失認・左右失認の症状が呈する。左半球の頭頂―後頭葉移行部(角回)の損傷で出現する。
午前84
Barthel Indexで正しいのはどれか。
1.歩行には坂道歩行を含まない。
2.100点であれば社会生活に支障はない。
3.トイレ動作にはトイレの出入りを含まない。
4.食事動作は補助具を使用しない状態で評価する。
5.車椅子からベッドへの移乗には車椅子操作は含まない。
+ 解説
解答:1
1:歩行に坂道歩行は含まれない。移動距離は45m以上歩けると15点である。
2:100点で自立、80点でほぼ自立、60点部分介助、40点以下大部分介助である。
3:トイレ動作には出入り(腰掛けなど含む)、下衣の着脱などが含まれる。
4:皿やテーブルから自力で食物を取って、食べることができるかを評価する。食事は自助具を用いてもよい。
5:車椅子からベッドへの移乗は1つの項目として評価される。
午前85
赤血球沈降速度が低下するのはどれか。
1.貧血
2.肝硬変
3.悪性腫瘍
4.細菌感染
5.播種性血管内凝固症候群(DIC)
+ 解説
解答:5
赤血球沈降速度(血沈)は炎症の指標である。血沈は炎症性疾患・悪性腫瘍・貧血・心筋梗塞・肝硬変などで亢進します。逆に多血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)などで低下する。
午前86
食道静脈瘤について正しいのはどれか。
1.食道の中下部に好発する。
2.吐血はコーヒー残渣様である。
3.門脈圧の低下が原因で形成される。
4.治療は食道離断術が第一選択である。
5.初期のものは内視鏡で観察すると赤色にみえる。
+ 解答
解答:1
静脈瘤は静脈弁機能不全により静脈血の還流が障害されることにより生じる。
1・3:門脈圧亢進症では門脈の血液が胃・食道接合部の静脈に大量に流入するため、食道静脈瘤は食道下部の粘膜下に形成される。
2:胃内で出血した血液は胃酸によりヘモグロビンが酸化され、黒褐色からコーヒー残渣様に変化する。しかし、食道静脈瘤破裂のように胃液量に比べ出血量が多ければ鮮血色になる。
4:治療は内視鏡的食道静脈硬化療法や内視鏡的食道静脈瘤結紮術が行われる。
5:初期は白色→青色へ変化します。進行すると赤色(RC所見:red color signs)へ変化する。
午前87
アルコール性肝障害について正しいのはどれか。
1.アルコール性肝炎は自覚症状に乏しい。
2.アルコール性脂肪肝では腹痛がみられる。
3.アルコール積算飲酒量と肝障害の発症率は無関係である。
4.アルコール性肝硬変では断酒を続けても組織病変は正常化しない。
5.アルコール性肝硬変では肝細胞癌の発症率が健常者の3倍以上である。
+ 解説
解答:4
アルコール多飲から脂肪肝を招来し、肝機能障害をきたす状態をアルコール性肝炎という。
1:アルコール性肝炎は倦怠感・食欲不振・吐き気などがみられる。
2:アルコール性脂肪肝は症状が乏しいため腹痛はみられない。
3:積算飲酒量が多いほどアルコール性肝炎の発症率は高くなる。
4:肝硬変まで進行すると病変の正常化は期待できない。
5:アルコール性肝硬変から肝癌に移行する可能性は高いが、ウイルス性(B型・C型)肝硬変などの要因で発症する場合もあるため設問は不適切と判断される。
午前88
心不全に特徴的な呼吸はどれか。
1.下顎呼吸
2.陥没呼吸
3.奇異呼吸
4.起座呼吸
5.鼻翼呼吸
+ 解説
解答:4
左心不全で起坐呼吸が生じる。*臥位で呼吸困難が生じるため坐位など上半身を起こしている状態を起坐呼吸という。
1:吸気時に下顎が上方へ上がり呼気とともに緩やかに下がる呼吸。瀕死期の患者にみられる。
2:吸気時に胸部の一部が陥没する呼吸。重度の呼吸器疾患を持つ患者にみられる。
3:胸郭運動の一部が連動しない呼吸。呼吸筋麻痺を呈している患者にみられる。
5:呼気時に鼻翼が膨らむ呼吸。気道閉塞・細気管支炎などでみられる。
午前89
6〜12歳におけるGMFCSレベルと動作能力の組合せで正しいのはどれか。
1.Ⅰ ――――――――――― 階段で手すり使用
2.Ⅱ ――――――――――― 装具なしで歩行
3.Ⅲ ――――――――――― 不整地の歩行
4.Ⅳ ――――――――――― 通常の椅子で座位保持
5.Ⅴ ――――――――――― 寝返り可能
+ 解説
解答:2
1:Ⅰでは手すりを使用せず階段昇降が可能である。
3:Ⅲは屋内で移動機器を使用して歩行が可能である。不整地歩行はⅠで可能。
4:Ⅳは座位保持に配慮を要する。通常の椅子で座位保持が可能なのはⅡまでである。
5:Ⅴは動作に介助を要する。
GMFCSレベルと動作能力
| Ⅰ |
制限なしに歩く |
| Ⅱ |
制限を伴って歩く |
| Ⅲ |
手に持つ移動器具を使用して歩く |
| Ⅳ |
制限を伴って自力移動:電動の移動手段を使用してもよい |
| Ⅴ |
手動車椅子で移送される |
午前90
福山型筋ジストロフィーについて正しいのはどれか。
1.男児のみに発症する。
2.初発症状は3歳前後でみられる。
3.精神遅滞はDuchenne型に比べて少ない。
4.発症頻度はDuchenne型に比べて少ない。
5.15歳以降も歩行が可能であることが多い。
+ 解説
解答:4
常染色体潜性遺伝で筋ジストロフィーと脳形成障害(知的障害)を併せもつ。
1:常染色体劣性遺伝のため女児にもみられる。
2:出生時下または生後数ヶ月以内に筋力低下を示し、筋生検でジストロフィー変化を示す。
3:脳形成障害のため著しい知的障害が出現する。
5:平均寿命は14歳で死因は肺炎、心不全が多い。
*デュシェンヌ型筋ジストロフィーは1.9-3.4/10万人、福山型筋ジストロフィーの頻度は3人/10万人である。