閉塞性換気障害と拘束性換気障害|理学療法士・作業療法士国家試験必修ポイント

閉塞性換気障害と拘束性換気障害

閉塞性換気障害

気道の狭窄により,スムーズに息が吐けない状態(呼気障害).1秒量と1秒率の低下が特徴で,1秒率が70%以下の場合に閉塞性換気障害と診断されます.

疾患名
気道疾患 COPD慢性気管支炎),びまん性汎細胞気管支炎,気管支喘息,気管支拡張症
肺疾患 COPD肺気腫),肺嚢胞症

国家試験では「閉塞性換気障害はどれか?」という問題で出題をされます.閉塞性換気障害に分類される疾患名はしっかり把握して下さい.

1秒率はこちらの記事で確認して下さい.

 

拘束性換気障害

肺容積の縮小によりスムーズに息が吸えない状態(吸気障害).肺活量の減少が特徴で,%肺活量が80%以下の場合に拘束性換気障害と診断されます.

%肺活量は予測肺活量に対する実測肺活量の割合{%肺活量(%VC)=(実測肺活量/予測肺活量)× 100}で算出されます.

予測肺活量の求め方

ボールドウィン(Baldwin)の式

VC(男性mL)={27.63-(0.112×年齢)}×身長(cm

VC(女性mL)={21.78-(0.101×年齢)}×身長(cm

日本呼吸器学会の予測式

・男性=0.045×身長(cm)−0.023×年齢−2.258

・女性=0.032×身長(cm)−0.018×年齢−1.178

予測肺活量の計算式を覚える必要はありません.スパイロメータの検査時に性別,年齢,身長を入力するので自動的に算出されます.

閉塞性換気障害と同様に拘束性換気障害に分類される疾患も把握しましょう.

疾患名
拘束性換気障害 間質性肺炎肺線維症塵肺症,肺うっ血症,肺水腫

 

閉塞性換気障害と拘束性換気障害を鑑別

閉塞性換気障害 拘束性換気障害
1秒率 低下(70%以下
%肺活量 低下(80%以下
障害 呼気障害(うまく吐けない) 吸気障害(うまく吸えない)
咳嗽 湿性咳嗽 乾性咳嗽
呼吸音 連続性ラ音 断続性ラ音

国家試験出題ポイントの1つです.この鑑別表は必ず覚えましょう!

 

1秒率と%肺活量

1秒率と%肺活量の関係から閉塞性換気障害と拘束性換気障害を比較します.この図をしっかり覚えましょう.

注意ポイント

混合性換気障害は,閉塞性換気障害と拘束性換気障害の両方の症状を持つ疾患に罹患した場合,閉塞性換気障害と拘束性換気障害が合併した場合,COPDが進行して高度になった場合です.

 

必須ポイント

  1. 閉塞性換気障害と拘束性換気障害に分類される疾患を覚える.
  2. 閉塞性換気障害と拘束性換気障害の鑑別表を覚える.
  3. 1秒率,%肺活量の数値から閉塞性,拘束性,混合性を分類できる.

参考文献

・前田眞治ほか:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 内科学 第3版.医学書院.

・山口昇ほか:標準作業療法学 専門分野 身体機能作業療法学 第3版.医学書院.

・小林隆司:PTOTビジュアルテキスト 身体障害作業療法2 内部疾患編 第1版.羊土社.

・岡田隆夫ほか:標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 生理学 第5版.医学書院.

・塩谷隆信ほか:リハ実践テクニック 呼吸ケア.MEDICAL VIEW

 




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