重症筋無力症
重症筋無力症に関する第50回以降の国家試験問題を詳しく解説しています!類似している問題が多くあるので解説をじっくり読みながら理解してください。
PT・OT共通
第52回 午後88
重症筋無力症について正しいのはどれか。
1.起床時に症状が強い。
2.悪性腫瘍の合併が多い。
3.自己免疫性疾患である。
4.女性よりも男性に多い。
5.40歳以前の発症は稀である。
+ 解説
解答:3
解説
1.MGの症状は朝よりも夕方に出現しやすい(日内変動)。
2.胸腺異常(胸腺過形成は約65%・胸腺腫は約15%)を合併する頻度が高い。胸腺腫は中高年男性に多くみられる。
3.MGは神経筋接合部でアセチルコリン受容体に対する自己抗体が存在するために神経伝達が障害される自己免疫疾患です。
4・5.男女比は1:1.7で中年女性に多い。
第54回 午後91
重症筋無力症で正しいのはどれか。
1.胸腺の異常を伴うことが多い。
2.Parkinson病よりも患者数が多い。
3.テンシロン試験で症状が悪化する。
4.血清クレアチニンキナーゼが上昇する。
5.誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認める。
+ 解説
解答:1
解説
1.胸腺異常は約80%にみられる。
2.有病率は11.8人/10万でパーキンソン病患者よりも少ない。
3.テンシロン試験で症状は一時的に改善します。
4.血清クレアチンキナーゼ(CK)は骨格筋の損傷・筋疾患・心筋梗塞で上昇します。MGは神経筋接合部の障害のため血清クレアチンキナーゼは上昇しません。
5.随意収縮または反復刺激により電位振幅の10%以上の減少が認められます(waning現象)。
PT専門
第51回 午後29
重症筋無力症で正しいのはどれか。
1.脱髄疾患である。
2.午前中に症状が悪化する。
3.複視を生じることは稀である。
4.感染はクリーゼの誘発因子である。
5.四肢遠位筋の筋力低下を生じやすい。
+ 解説
解答:4
1.MGは神経筋接合部においてアセチルコリン受容体に対する自己抗体が存在するために神経筋伝達障害がみられる自己免疫疾患です。
2.MGの症状は朝よりも夕方に出現しやすい(日内変動)。
3.初発症状として眼瞼下垂や複視がみられる。
4.急激に筋力低下が増悪し、呼吸筋麻痺による呼吸困難や呼吸不全に陥った状態をクリーゼといいます。クリーゼの誘因は感染・薬物・外傷・手術・妊娠・出産・過労・ストレスなどです。
5.MGの筋力低下は四肢近位筋で認められます。
第53回 午前46
重症筋無力症のクリーゼについて誤っているのはどれか。
1.嚥下障害を認める。
2.咳嗽機能が低下する。
3.閉塞性喚起障害をきたす。
4.発症率は20%以上である。
5.ステロイドの急激な減量が原因となる。
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解答:4
解説
急激に筋力低下が増悪し、呼吸筋麻痺による呼吸困難や呼吸不全に陥った状態をクリーゼといいます。感染・薬物・外傷・手術・妊娠・出産・過労・ストレスなどでクリーゼが引き起こされます。
*MGの十数%の患者がクリーゼを経験すると報告されていますが、治療薬の選択肢が増えた現在では以前よりも減少していると考えられています。
第57回 午後44
重症筋無力症で正しいのはどれか。
1.過用に注意して運動は漸増負荷とする。
2.日内変動として午前中に症状が悪化する。
3.低頻度連続刺激の筋電図でwaxing現象がみられる。
4.運動神経末端からのアセチルコリン放出が障害される。
5.クリーゼによる呼吸症状悪化は閉塞性喚起障害で起こる。
+ 解説
解答:1
解説
1.筋収縮や反復刺激によって顕著に筋力低下が出現します。そのため、過用に注意しながら漸増負荷することが望ましい。
2.症状は午前中に比べ午後に悪化します。
3.低頻度連続刺激によって筋電図はwaning現象(振幅が減少)がみられます。waxingは振幅が漸増する現象です。
4.MGは神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体による自己免疫疾患です。アセチルコリンの放出に問題はなく、受容体に障害が存在します。
5.急激に筋力低下が増悪し、呼吸筋麻痺による呼吸困難や呼吸不全に陥った状態をクリーゼといいます。呼吸筋麻痺により呼吸が障害されるため拘束性喚起障害になります。
第58回 午後17
44歳の女性。3年前に全身型重症筋無力症と診断され、拡大胸腺摘出術を受けた。現在ステロイド内服治療を継続し、定期的にγグロブリン大量静注療法を受けている。この患者の理学療法で正しいのはどれか。
1.血清CK値を指標に運動量を調整する。
2.筋力増強には過用に注意し漸増負荷で実施する。
3.筋緊張亢進に対してボツリヌス毒素療法を考慮する。
4.クリーゼのときには閉塞性喚起障害を念頭に入れる。
5.体温上昇で神経症状が悪化するため環境温に注意する。
+ 解説
解答:2
1.血清CKは骨格筋の損傷・筋疾患・心筋梗塞で上昇します。筋破壊の程度を示す指標になるためMGの運動量を調整する指標として利用できません。
2.筋収縮や反復刺激によって顕著に筋力低下が出現します。そのため、過用に注意しながら漸増負荷することが望ましい。
3.ボツリヌス毒素療法は脳卒中による痙縮に対して実施されます。
4.急激に筋力低下が増悪し、呼吸筋麻痺による呼吸困難や呼吸不全に陥った状態をクリーゼといいます。呼吸筋麻痺により呼吸が障害されるため拘束性喚起障害になります。
5.体温上昇により症状が悪化するのは多発性硬化症でみられるUhthoff(ウートフ)徴候です。
第59回 午前44
重症筋無力症患者のQMG score〈Quantitative Myasthenia Gravis score〉に含まれる評価はどれか。2つ選べ。
1.意識状態
2.嚥下機能
3.感覚障害
4.眼球運動
5.排尿機能
+ 解説
解答:2・4
解説
QMG scoreは①右方視、左方視時の複視出現までの時間、②上方視時の眼瞼下垂出現までの時間、③顔面筋力、④100ccの水の飲み込み、⑤1-50まで数え、構音障害が出現するまで、⑥坐位で上肢90°挙上が可能な時間(右・左)、⑦%FVC、⑧握力(利き手・非利き手)、⑨臥位で頭部45°挙上が可能な時間(右・左)、⑩臥位で下肢45°挙上が可能な時間(右・左)の13項目からなる評価です。各項目0点(正常)・1点(軽度)・2点(中等度)・3点(重度)の4段階で0点から39点でスコア化します。
OT専門
第52回 午後88
重症筋無力症について正しいのはどれか。
1.起床時に症状が強い。
2.悪性腫瘍の合併が多い。
3.自己免疫疾患である。
4.女性よりも男性に多い。
5.40歳以前の発症は稀である。
+ 解説
解答:3
解説
第52回(午後88)と同じ内容です。
1.MGの症状は朝よりも夕方に出現しやすい(日内変動)。
2.胸腺異常(胸腺過形成は約65%・胸腺腫は約15%)を合併する頻度が高い。胸腺腫は中高年男性に多くみられる。
3.MGは神経筋接合部でアセチルコリン受容体に対する自己抗体が存在するために神経伝達が障害される自己免疫疾患です。
4・5.男女比は1:1.7で中年女性に多い。
第54回 午後91
重症筋無力症で正しいのはどれか。
1.胸腺の異常を伴うことが多い。
2.Parkinson病よりも患者数が多い。
3.テンシロン試験で症状が悪化する。
4.血清クレアチンキナーゼが上昇する。
5.誘発筋電図の反復刺激試験で振幅の漸増を認める。
+ 解説
解答:1
解説
1.胸腺異常(胸腺過形成は約65%・胸腺腫は約15%)を合併が認められます。
2.有病率は11.8人/10万でパーキンソン病患者よりも少ない。
3.テンシロン試験で症状は一時的に改善します。
4.血清クレアチンキナーゼ(CK)は骨格筋の損傷・筋疾患・心筋梗塞で上昇します。MGは神経筋接合部の障害のため血清クレアチンキナーゼは上昇しません。
5.誘発筋電図は反復刺激により振幅の10%以上の減少を認めます(waning現象)。