入手した論文を理解するために,統計学の知識を身につけましょう.ここでは量的尺度(間隔尺度と比例尺度)を再学習したいと思います.
前回のおさらいも合わせてどうぞ.
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量的尺度
間隔尺度
順位尺度の大小関係に加え,データ間の間隔も保持された尺度です.間隔尺度の例でよく取り上げられるのが温度(摂氏)です.
10℃と20℃の温度差は10℃,20℃と30℃の温度差も10℃です.どちらの温度差も等しいです.また,両者の温度差を足すと20℃になります.これは10℃と30℃の温度差(20℃)に等しくなります.このように間隔尺度はデータ間の間隔が一定なので,足したり・引いたりの加減が可能です.しかし,「20℃から50%温度が低下すると10℃になる」,「20℃の1.5倍は30℃である」は正確ではありません.間隔尺度は掛け算や割り算の乗除はできません.
比例尺度
データ間の差が測定対象間の差を表すだけでなく,0(zero)を1つに定めることができる尺度です.身長(長さ)や体重(重さ)は比例尺度です.
「150cmと180cmは30cmの差がある」,「150cmの1.2倍は180cmである」は成立します.
このように比例尺度は加減に加え,掛け算(乗)や割り算(徐)が可能です.
間隔尺度と比例尺度を比較
間隔尺度と比例尺度は見分けづらいです.2つの尺度を見分けるために0(zero)に注目します.
間隔尺度では0は無(なし)を意味しません.例えば温度には0℃という温度(熱量)はあります(水が氷になる温度).このように0が無を意味しません.
一方で身長や体重はどうでしょうか.長さ0cm,重さ0kgの物体はありません(無を表します).
- 0という値に何かある状態→間隔尺度
- 0という値が何もない状態→比例尺度
これをイメージすると間隔尺度と比例尺度を見分けやすくなります.
まとめ
4つの尺度を表にまとめました.
4つの尺度の違いは数値が持つ情報量の差です.情報量は名義尺度<順位尺度<間隔尺度<比例尺度の順に大きくなります.身の回りにあるデータがどの尺度に分類されるか検討すると考えやすいかもしれません.
参考文献
・竹田徳則ほか:作業療法研究法.医歯薬出版株式会社.
・石川朗ほか:15レクチャーシリーズ リハビリテーション統計学.中山書店.
・関屋曻:真に役立つ研究のデザインと統計処理.三輪書店.