問題1 神経線維の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.脳の白質には多くの神経細胞体が存在する。
2.有髄神経はRanvier絞輪を有する。
3.シュワン細胞は中枢神経の髄鞘を形成する。
4.有髄神経は直径が細いほど圧迫で障害を受けやすい。
5.有髄神経の伝導速度は線維の直径と比例する。
+ 解説
解答:2・5
1:白質は神経線維の集合体で構成される部位です。軸索を覆う髄鞘は主に脂肪で構成されています。脂肪は光を反射するため組織が白く見えます。灰白質は神経細胞体や樹状突起の集合体で構成されます。
3:シュワン細胞は末梢神経の髄鞘を形成します。中枢神経の髄鞘は稀突起膠細胞により形成されています。
4:神経線維が太いほど圧迫障害を受けやすくなります。
問題2 末梢神経について誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.A群はB群やC群に比べ直径が太い。
2.B群は無髄神経である。
3.交感神経節前線維はC群である。
4.Aγ線維は錘内筋を支配する。
5.C群の伝導速度はB群に比べ遅い。
+ 解説
解答:2・3
Erlanger(アーランガー)とGasser(ガッサー)の分類は伝導速度に基づいて、神経線維をA・B・Cの3種類に分類しています。さらにA線維はα・β・γ・δの4つに分類しています。直径はA>B>Cの順に細くなり、伝導速度はA>B>Cの順に遅くなります。
2:A・B線維は有髄線維です。C線維のみ無髄神経です。
3:交感神経節前線維はB群、交感神経節後線維はC群です。
問題3 中枢神経の神経膠細胞でないのはどれか。
1.星状膠細胞
2.稀突起膠細胞
3.上衣細胞
4.小膠細胞
5.外套細胞
+ 解説
解答:5
神経膠細胞(グリア)は神経組織における支持組織です。中枢神経系には星状膠細胞・稀突起膠細胞・上衣細胞・小膠細胞の4種類が存在します。
末梢神経の神経膠細胞は髄鞘を形成するシュワン細胞と、ニューロンへの栄養・代謝産物の輸送に関与する外套細胞(衛生細胞)の2種類が存在します。
問題4 末梢神経について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.Ⅲ線維はⅠ線維に比べ太い。
2.Ⅰb線維は筋紡錘からの情報を中枢へ伝達する。
3.遠心性神経は脊髄後根から出力する。
4.Ⅰ線維はⅣ線維に比べ伝導速度が速い。
5.Ⅳ線維は無髄神経である。
+ 解説
解答:4・5
Lloyd(ロイド)とHunt(ハント)の分類は求心性線維を受容器の種類によってⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ群に分類しています。さらにⅠ群をⅠa群Ⅰb群に分類しています。直径はⅠ>Ⅱ>Ⅲの順に細くなり、伝導速度はⅠ>Ⅱ>Ⅲの順に遅くなります。
1:Ⅰ群>Ⅱ群>Ⅲ群>Ⅳ群の順に細くなります。
2:Ⅰa線維は筋紡錘、Ⅰb線維は腱紡錘からの情報を中枢に伝達します。
3:遠心性神経(運動神経)は脊髄前根から出力します。
問題5 神経筋接合部(神経終末)が脱分極することにより流入するものはどれか。
1.カリウムイオン
2.ナトリウムイオン
3.カルシウムイオン
4.ドパミン
5.カルシトニン
+ 解説
解答:3
神経終末が脱分極することにより、神経終末に存在する電位依存性Ca2+チャネルが開口してCa2+が細胞内に流入します。流入したCa2+の作用によりシナプス小胞は細胞膜に融合して、アセチルコリンをシナプス間隙に放出します。
問題6 神経筋接合部における神経伝達物質はどれか。
1.アセチルコリン
2.アドレナリン
3.ノルアドレナリン
4.セロトニン
5.ドパミン
+ 解説
解答:1
神経終末が脱分極することにより、神経終末に存在する電位依存性Ca2+チャネルが開口してCa2+が細胞内に流入します。流入したCa2+の作用によりシナプス小胞は細胞膜に融合して、アセチルコリンをシナプス間隙に放出します。
問題7 神経の興奮伝導および伝達で誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.1本の神経線維の興奮は隣接する他の神経線維を興奮させる。
2.温度は低いよりも高い方が伝導速度は速い。
3.シナプスでは興奮は両方向に伝達する。
4.活動電位は減衰することなく伝導する。
5.髄鞘は電気抵抗が高いため、局所電流はランビエ絞輪間を跳ぶように伝導する。
+ 解説
解答:1・3
神経線維の興奮伝導は両方向性伝導・絶縁性伝導・不減衰伝導の三原則です。
1:神経線維は隣接する他の神経線維を興奮させません(絶縁性伝導)。
3:シナプスにおける興奮は一方向性に伝達します。神経線維の興奮は両方向性に伝導します。
問題8 運動単位で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.1つの運動ニューロンは1つの筋線維を支配する。
2.運動単位には求心性線維が含まれる。
3.繊細な動きを必要とする筋は神経支配比が大きい。
4.随意運動では小さな運動単位ほど先に活動を始める。
5.1つの筋肉は多数の運動単位で構成される。
+ 解説
解答:4・5
1・2:1つの運動ニューロンは複数の筋線維を支配します。1つの運動ニューロンとそれにより支配される筋線維群を合わせて運動単位といいます。そのため、求心性線維(感覚神経)は含まれません。
3:繊細な動きを必要とする筋の神経支配比は小さく、大腿など大きな力を必要とする筋の神経支配比は大きい。
問題9 運動単位で誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.γ運動ニューロンとそれに支配される筋線維群を運動単位という。
2.それぞれの運動単位では脊髄前角細胞の大きさや運動ニューロンの太さが異なる。
3.複数の運動単位が同時に活動すれば大きな力を発揮する。
4.虫様筋の神経支配比は上腕二頭筋よりも大きい。
5.1つの運動ニューロンを刺激すると、支配している筋線維が同時に収縮する。
+ 解説
解答:1・4
1:1つのα運動ニューロンとそれに支配される筋線維群を運動単位といいます。γ運動ニューロンは錘内筋線維を支配しています。
4:繊細な動きを必要とする筋の神経支配比は小さくため、虫様筋の神経支配比は上腕二頭筋よりも小さい。
問題10 細胞膜電位について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.活動電位は全か無かの法則に従う。
2.活動電位発生直後に強い刺激を加えても活動電位は発生しない。
3.カリウムイオンが細胞内に流入して脱分極が起こる。
4.膜電位が上昇し細胞外が細胞内に対してプラスになる状態をオーバーシュートという。
5.強い刺激を与えると活動電位は大きくなる。
+ 解説
解答:1・2
2:活動電位発生直後に細胞は興奮性を失い、強い刺激を与えても活動電位を発生しません。この時期のことを絶対不応期といいます。
3:ナトリウムイオンが細胞内に流入して脱分極が起こります。
4:活動電位が生じていない状態(静止膜電位)は神経細胞で-60mV、骨格筋細胞で-90mV程度で、細胞内は細胞外に対して負の電位を示します。細胞内が細胞外に対してプラスになる状態をオーバーシュートといいます。
5:刺激の強弱に関係なく活動電位の大きさは一定です。