ガス交換
場所
体内でガス交換が行われる場所は大きく分けて2カ所です.まず1つ目は肺です.肺胞の外側には毛細血管が網目状に密着して取り囲んでいます.
肺胞と毛細血管の間でガス交換が行われます.赤血球が毛細血管を通過する時に肺胞から酸素を取り込み,二酸化炭素を放出します.
2つ目は末梢組織(筋)です.末梢組織では肺胞でのガス交換とは逆で血管から末梢組織に酸素を放出し,末梢組織から血管に二酸化炭素を取り込みます.
仕組み
酸素はヘモグロビン(Hb)と結合して組織へ運搬されます.酸素とヘモグロビンの結合は酸素分圧によって左右されます.酸素は分圧の高い(濃度の高い)ところから低いところへ移動します.これを拡散といいます.
赤い矢印は酸素(O2)の拡散,青い矢印は二酸化炭素(CO2)の拡散を示しています.肺胞での酸素分圧は100mmHgで,毛細血管は40mmHgなので分圧の高い肺胞から低い毛細血管に酸素は拡散します.末梢組織の酸素分圧は血管よりも低いため,酸素は血管から末梢組織へ拡散します.
二酸化炭素の交換も同様に分圧の高い方から低い方へ拡散します.肺胞での二酸化炭素分圧は40mmHgで,毛細血管は46mmHgなので二酸化炭素は毛細血管から肺胞へ移動します.そして末梢組織では二酸化炭素分圧は血管よりも高いため,二酸化炭素は末梢組織から血管に拡散します.
ちなみに
二酸化炭素分圧差は酸素分圧差に比べ小さいです(分圧差は6mmHg).しかし,二酸化炭素は拡散しやすいため分圧差が問題になることはありません.
酸素解離曲線
酸素解離曲線(横軸に酸素分圧,縦軸に酸素飽和度)を示します.
肺胞内の酸素分圧は100mmHgなので,この時点の酸素飽和度は97%程度になります.末梢組織の酸素分圧は40mmHg程度になるので,酸素飽和度は70%程度になり酸素を末梢組織へ放出しやすい状態となっています.
ボーア効果(Bohr effect)
pHの低下,二酸化炭素分圧の上昇,2,3-DPG(ジホスホグリセリン酸)の増加,温度の上昇により曲線が右側へシフトします.
運動時には二酸化炭素が多く発生し,pH低下や体温上昇が起こり酸素解離曲線は右にシフトします.右側へシフトするとヘモグロビンの酸素親和性は低下(ヘモグロビンが酸素を離しやすい状態)します.
酸素分圧が40mmHgの供給量を比較すると右側にシフトした方が酸素供給量が大きいことがわかります.同じ酸素分圧でも末梢組織への酸素供給を増やす意味では非常い合理的なシステムです.この酸素解離曲線が移動することをボーア効果といいます.
ココを攻略
酸素解離曲線についてポイントを解説しました.しっかり理解して難題のアシドーシス,アルカローシスの理解につなげましょう!
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参考文献
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