問題1 ミオシンフィラメントが存在しないのはどれか。2つ選べ。
1.暗帯
2.明帯
3.筋節
4.H帯
5.Z帯
+ 解説
解答:2・5
2:明帯(I帯)はアクチンフィラメントのみの部分です。
5:Z帯は明帯(I帯)の中央部に存在するアクチンフィラメントが付着する部分です。
問題2 骨格筋の構造で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.筋原線維はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントでつくられる。
2.隣り合う明帯の部分は筋収縮における最小単位で筋節と呼ばれる。
3.筋収縮により暗帯は短くなる。
4.細胞あたりの1つの核を有する。
5.終板には多数のニコチン性アセチルコリン受容体が集まっている。
+ 解説
解答:1・5
2:隣り合うZ帯の部分は筋収縮における最小単位で筋節といいます。
3:収縮時に暗帯(A帯)の長さは変化しない。明帯(I帯)は収縮時に短くなります。
4:骨格筋線維は多核細胞です。心筋と平滑筋の細胞あたりの核の数は1つ(単核)です。
問題3 骨格筋で誤っているのはどれか。
1.全身には約400種類の骨格筋が存在する。
2.神経筋接合部ではⅠa神経線維によって興奮が伝達される。
3.筋周膜はいくつかの筋線維を束にして包んでいる。
4.上腕や大腿などの筋膜は癒合して筋間中隔を形成する。
5.表情筋は個別の筋膜をもたない。
+ 解説
解答:2
2:神経筋接合部ではα運動ニューロンによって興奮が伝達します。Ⅰa神経線維は錘内筋線維からの情報を中枢へ伝達する感覚神経線維(求心性線維)です。
3:筋周膜によって束ねられた筋線維群を筋束といいます。そして、いつくかの筋束は筋上膜により包まれ1つの筋になります。
4:上腕・前腕・大腿・下腿の異なる筋群間の筋膜は一般的に癒合して筋群を分ける筋間中隔を形成します。
5:表情筋は個別の筋膜をもっていないため独立して取り出すことはできません。
問題4 骨格筋の収縮について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.単収縮が連続して起こると筋収縮は階段状に強くなる。
2.単収縮を加重させると不完全強縮から完全強縮と大きな収縮が生じる。
3.活動電位は筋収縮と同時に発生する。
4.5Hz程度の頻度で刺激すると完全強縮になる。
+ 解説
解答:1・2
1回の刺激で生じる一過性の筋収縮を単収縮といいます。筋収縮を繰り返し誘発すると1回目の刺激で生じる単収縮よりも、2回目、3回目の単収縮は大きくなります(階段現象)。さらに反復刺激を続けると疲労により単収縮は徐々に小さくなり、最終的には収縮できなくなります。
3:活動電位は収縮に先行して発生します。
4:強縮を起こす刺激頻度は筋線維によって異なりますが、強縮を起こすには20Hz以上の刺激が必要です。
5:身体運動時の筋収縮はほとんど完全強縮です。
問題5 骨格筋の収縮について誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.筋長が一定のまま張力を発生する収縮を等尺性収縮という。
2.机からコップを持ち上げるときの上腕二頭筋は求心性収縮である。
3.椅子から立ち上がるときの大腿四頭筋は遠心性収縮である。
4.等張性収縮は等尺性収縮に比べ筋持久力増強効果が高い。
5.求心性収縮は遠心性収縮に比べ強い張力を発揮する。
+ 解説
解答:3・5
3:椅子から立ち上がるときの大腿四頭筋は求心性収縮です。
5:遠心性>等尺性>求心性の順に筋張力は小さくなります。
問題6 骨格筋の興奮収縮連関について誤っているのはどれか。2つ選べ。
1.横行小菅から骨格筋細胞膜に活動電位が伝わる。
2.筋小胞体からCa2+が放出される。
3.ミオシンフィラメント上にあるトロポニンにCa2+が結合する。
4.高エネルギー状態のミオシン頭部がアクチンフィラメントに接近し連結橋を形成する。
5.筋収縮はアクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に滑り込むことで生じる。
+ 解説
解答:1・3
1:骨格筋細胞膜で発生した活動電位は筋線維全体に広がり、横行小管を通って筋線維内部まで伝搬します。
3:筋小胞体から放出されたCa2+はアクチンフィラメント上のトロポニンと結合します。
問題7 骨格筋の筋張力について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.全張力から静止張力を引くと活動張力になる。
2.筋長が短くなると静止張力は増加する。
3.筋の発生する張力は収縮に参加した筋線維数によって決定する。
4.運動速度と最大筋張力は比例する。
5.最大筋力は解剖学的断面積に比例する。
+ 解説
解答:1・3
2:筋長が長くなると静止張力は増加し、静止長を超えてさらに伸張すると活動張力は減少します。
4:運動速度と最大筋張力は反比例します。求心運動では速度が遅いほど最大筋張力は大きく、速度が速いほど最大筋張力は小さくなります。
5:筋束の長軸に対して直角な筋断面積を解剖学的断面、筋線維の走行に直角な筋断面積を生理学的断面積といいます。最大筋力は生理学的断面積に比例します。
問題8 運動単位について誤っているのはどれか。
1.1つの運動ニューロンとそれに支配される筋線維群を合わせて運動単位という。
2.繊細な動きを必要とする筋では神経支配比が小さくなる。
3.1つの筋肉は1つの運動単位で構成される。
4.運動単位はSタイプ・FRタイプ・FFタイプに分類される。
5.複数の運動単位が同時に活動すれば大きな力を発揮する。
+ 解説
解答:3
3:1つの筋肉には多数の運動単位が含まれます。筋肉が収縮するとき、運動単位がどの程度活動するかによって収縮力は変化します。
問題9 タイプⅡ筋線維と比較してタイプⅠ筋線維の特徴はどれか。
1.収縮速度は速い。
2.疲労への耐久性は低い。
3.解答系酵素活性は高い。
4.グリコーゲン量は多い。
5.ミオグロビンの含有量は多い。
+ 解説
解答:5
|
遅筋(赤筋) |
速筋(白筋) |
| Type Ⅰ |
Type Ⅱa |
Type Ⅱb |
| 運動単位 |
S |
FR |
FF |
| 筋線維サイズ |
小さい |
中間 |
大きい |
| 収縮速度 |
遅い |
速い |
速い |
| 収縮張力 |
小さい |
中間 |
大きい |
| 疲労耐性 |
高い |
中間 |
低い |
| 酸化系酵素活性 |
高い |
中間 |
低い |
| 解糖系酵素活性 |
低い |
中間 |
高い |
| ミオグロビン |
高い |
中等度 |
低い |
| ミトコンドリア |
多い |
中等度 |
少ない |
問題10 タイプⅠ筋線維と比較してタイプⅡ筋線維の特徴はどれか。
1.収縮速度が遅いため遅筋とも呼ばれる。
2.ミオグロビン含有量が多く赤みが強い。
3.大型のα運動ニューロンによって支配される。
4.背筋群に多く含まれている。
5.強縮をおこす刺激頻度の閾値は低い。
+ 解説
解答:3
1:タイプⅡ筋線維は収縮速度が速く速筋とも呼ばれます。
2:ミオグロビン含有量が多いのはタイプⅠ筋線維です。タイプⅠ筋線維はミオグロビンを多く含むため、赤みが強く赤筋とも呼ばれます。
4:背筋群は姿勢維持のために長時間収縮する必要があるためタイプⅠ筋線維を多く含みます。
5:タイプⅡ筋線維の方が強縮をおこすために高頻度の刺激を必要とします。