形態測定|絶対失敗しない上肢の測定!

形態測定は身体の形態を把握するために実施されます.ここでは,上肢の長さの測定について解説します.

 

測定の目的

各肢の長さを測定することにより,身体的特徴を把握することができます.そのため,四肢切断や関節拘縮など肢の長さに変化や異常をきたしたときに測定します.上肢の長さを測定することで,肩関節亜脱臼の程度,肘関節拘縮の有無,骨折による転位や偽関節の有無,断端長の把握などに必要な情報を得ることができます.

 

測定部位

上肢測定は3カ所です.

種類 計測方法
上肢長 肩峰外側端から橈骨形状突起(または第3中指先端までの最短距離)
上腕長 肩峰外側端から上腕骨外側上顆
前腕長 上腕骨外側上顆から橈骨形状突起

 

触診

測定の成否を握るのは触診です.正確に触診ができると測定値も正確です.

ここでは,セルフでの触診を解説します.回数を重ねることで自然に身に付く技術です.

肩峰

脇を締めたまま左手で右肩を触ります.指先に触れる骨の突起が肩甲棘です.肩甲棘を外側に触れていくと,直角に前方へ曲がります.この部分が肩峰角です.肩峰角から前方へ移動した部分が肩峰外側です.

 

上腕骨外側上顆

上腕骨を内外側から挟み,指を遠位方向へ滑らします.肘付近で感じる骨の突起が内側上顆と外側上顆です.

注意ポイント

橈骨頭と間違えて触診する可能性があります.触れた状態で前腕を回内外した際に,触診部が動かなければ上腕骨外側上顆です.動く場合は橈骨頭です.

 

橈骨茎状突起

橈骨を遠位方向へ向け触診します.手関節周辺で凹みを感じるはずです.

その部分から橈骨を近位部分に向けて圧迫した時に感じる突起が橈骨茎状突起です.

 

測定

測定肢位は座位または立位で実施します(座位・立位が不能な場合は背臥位).上肢を下垂し,肩関節内外旋中間位,肘関節伸展,前腕を回外位で手掌面を前方へ向けます(解剖学的肢位).

注意ポイント

拘縮などで可動域に制限がある場合は,最大限に伸展している肢位を保持して計測を実施します.

側方からのランドマークを確認します.大きな問題がなければ3点は直線上に並びます.

測定する2点間の最短距離にメージャーを当てます.計測値は小数点第一位または0.5cm刻みで記載をします.

触診最短距離をメジャーで測る.

この2つができれば正確な計測が可能です.これを完璧に実施するには練習あるのみ.セルフ触診を繰り返すことで,骨指標の大まかな位置が掴めます.

 

測定の注意点

  • 巻尺のよじれ,たるみに注意する.
  • 可能な限り測定部に衣服は身につけない.
  • 測定は1人の検者が通して実施するのが望ましい.

おまけ

測定する機会は余りないと思いますが,上肢の計測には手長もあります.測定部位は,橈骨・尺骨茎状突起を結ぶ線の中心点から第3指先端です.

 

参考文献

・松澤正ほか:理学療法評価学 改訂第6版.金原出版株式会社.

・能登真一ほか:標準作業療法学 専門分野 作業療法評価学 第3版.医学書院.

・潮見泰藏ほか:PTOTビジュアルテキスト リハビリテーション基礎評価学 第2版.羊土社.

・使用イラスト

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