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解剖学
問題51
関節の組合せで正しいのはどれか。
1.肩関節 ――――― 臼状関節
2.胸鎖関節 ―――― 蝶番関節
3.上橈尺関節 ――― 車軸関節
4.腕尺関節 ―――― 球関節
5.MCP関節―――― 鞍関節
+ 解説
解答:3
解説
1.肩関節(肩甲上腕関節)は球関節です。
2.胸鎖関節は鞍関節です。胸鎖関節の構造は鞍関節ですが、関節腔には関節円板があり球関節の機能を持ちます。
4.腕尺関節はラセン関節です。
5.MCP関節は顆状関節です。
問題52
ヤコビー〈Jacoby〉線上に位置する椎骨はどれか。
1.T12
2.L1
3.L2
4.L3
5.L4
+ 解説
解答:5
解説
ヤコビー(Jacoby)線は左右の腸骨稜を結んだ線です。この線は第4腰椎の棘突起に一致します。
問題53
滑車神経が支配する外眼筋はどれか。
1.下斜筋
2.下直筋
3.上斜筋
4.上直筋
5.外側直筋
+ 解説
解答:3
解説
外眼筋は眼球に直接付着して、眼球の運動に関与する6つの筋です。これらは脳神経(動眼神経・滑車神経・外転神経)に支配されます。
動眼神経 |
上直筋・下直筋・内側直近・下斜筋 |
滑車神経 |
上斜筋 |
外転神経 |
外側直筋 |
問題54
温痛覚の経路はどれか。
1.脊髄小脳路
2.皮質脊髄路
3.前脊髄視床路
4.網様体脊髄路
5.外側脊髄視床路
+ 解説
解答:5
解説
1.脊髄小脳路には後脊髄小脳路と前脊髄小脳路があり、下半身の固有感覚(深部感覚)を小脳に伝えます。
2.皮質脊髄路は延髄に錐体を形成して下行することから錐体路と呼ばれています。
3.前脊髄視床路は粗大触・圧覚(識別能のない触・圧覚)の経路です。外側脊髄視床路と前脊髄視床路はまとめて前側索系と呼ばれます。
4.網様体脊髄路は脊髄前角の運動ニューロンに連絡して骨格筋の緊張維持・骨格筋活動の調整を行います。
問題55
一次ニューロンの細胞体が主に存在する部位はどれか。
1.後角
2.後索
3.前角
4.側索
5.後根神経節
+ 解説
解答:5
解説
体性感覚の神経路は受容器から大脳皮質感覚野に達するまで最少で3個のシナプスを形成します。一次ニューロンは神経節、二次ニューロンは脳幹または脊髄、三次ニューロンは視床に存在します。
問題56
腋窩神経で正しいのはどれか。
1.三角筋を支配する。
2.広背筋を支配する。
3.後骨間神経を分枝する。
4.上腕内側の皮膚感覚を支配する。
5.腕神経叢の外側神経束から分枝する。
+ 解説
解答:1
解説
1.腋窩神経は三角筋と小円筋を支配します。
2.広背筋は胸背神経に支配されています。
3.橈骨神経は上腕骨外側上顆の前方を通過して浅枝と深枝に分かれます。皮枝を持たない深枝を後骨間神経といいます。
4.上腕内側の皮膚感覚は肋間上腕神経・内側上腕皮神経が支配します。
5.腋窩神経は後神経束から分枝します。
問題57
後腹膜に存在するのはどれか。2つ選べ。
1.胃
2.空腸
3.腎臓
4.横行結腸
5.十二指腸
+ 解説
解答:3・5
解説
腹膜後隙(腹腔後壁の壁側腹膜より後方)にある器官を腹膜後器官といいます。腹膜後器官は十二指腸・膵臓・腎臓・副腎・尿管・腹大動脈・下大動脈・胸管・乳び槽などがあります。
問題58
甲状腺が分泌するホルモンはどれか。
1.メラトニン
2.オキシトシン
3.カルシトニン
4.バソプレシン
5.パラトルモン
+ 解説
解答:3
解説
甲状腺から甲状腺ホルモン(サイロキシン・トリヨードサイロニン)とカルシトニンが分泌されます。
1.メラトニンは松果体から分泌されます。
2・4.オキシトシン・バソプレシンは下垂体後葉から分泌されます。
5.パラトルモンは副甲状腺から分泌されます。
問題59
平衡聴覚器で正しいのはどれか。
1.耳石器は鼓室にある。
2.蝸牛神経は耳管を通る。
3.半規管は角加速度を知覚する。
4.アブミ骨筋は前庭神経に支配される。
5.内耳道は内リンパ液で満たされている。
+ 解説
解答:3
解説
1.耳石器は内耳にあり、卵形嚢・球形嚢からなる受容器(直線加速度)です。鼓室は鼓膜から前庭窓と蝸牛窓までの小腔で中耳とも呼ばれます。
2.蝸牛神経は聴覚を司る神経で、蝸牛内でラセン神経節を作りコルチ器に分布します。耳管は鼓室と咽頭鼻部を結ぶ管です。
3.半規管は前・後・外側半規管の3つからなり平衡覚(回転加速度)を伝達します。
4.アブミ骨筋はアブミ骨に付着する筋で顔面神経に支配されています。アブミ骨筋は内耳への音の伝達を調整します。鼓膜筋はツチ骨に付着して三叉神経に支配されます。
5.内耳には複雑な空洞を持つ膜迷路とその周囲を囲む骨迷路で構成されます。内リンパ液は骨迷路内を満たす細胞液で、外リンパ液は骨迷路と膜迷路の間を満たす細胞液です。
問題60
体細胞分裂の開始に関わる細胞内小器官はどれか。
1.核小体
2.小胞体
3.中心小体
4.Golgi装置
5.ミトコンドリア
+ 解説
解答:3
解説
1.核小体はリボソームをつくります。
2.小胞体は粗面小胞体と滑面小胞体があります。粗面小胞体はタンパク質の輸送と脂肪成分の産生、かつ面小胞体は脂肪の合成・分解、カルシウムイオンの貯蔵・輸送を行います。
3.中心小体は細胞分裂の際に星状体をつくり染色体を両極へ引き寄せます。
4.Golgi(ゴルジ)器官は糖タンパク質を合成します。
5.ミトコンドリアはATP産生します。
生理学
問題61
末梢神経のC線維で正しいのはどれか。
1.有髄線維である。
2.骨格筋を支配する。
3.受容器は筋紡錘である。
4.B線維より直径が小さい。
5.Aα線維より伝導速度が速い。
+ 解説
解答:4
解説
神経線維の分類にはErlanger・Gasser(アーランガーとガッサー)分類とLloyd・Hunt(ロイドとハント)分類があります。
アーランガー・ガッサー分類は伝導速度に基づいてA(α・β・γ・δ)・B・Cに分類しています。伝導速度はA→B→Cの順に遅くなります。ロイド・ハント分類は求心性受容器の種類によりⅠ群(Ⅰa・Ⅰb)・Ⅱ群・Ⅲ群・Ⅳ群に分類しています。A・B、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲは有髄神経、C・Ⅳ群は無髄神経です。
2.骨格筋はα運動ニューロンに支配されます。C線維は交感神経校線維や求心性線維にあります。
3.筋紡錘はγ(遠心線維)・Ⅰa・Ⅱ群(求心線維)に支配されます。
問題62
交感神経の節前線維で直接支配されるのはどれか。
1.肝臓
2.心臓
3.気管支
4.唾液腺
5.副腎髄質
+ 解説
解答:5
解説
自律神経(交感神経・副交感神経)は効果器に到達するまでに中枢神経外でシナプスを介します。シナプスの場が自律神経節より中枢にある神経線維を節前線維、自律神経節内の神経線維を節後線維といいます。
副腎髄質は交感神経節前線維の刺激に応じてアドレナリンとノルアドレナリンを分泌します。
問題63
呼吸の生理で正しいのはどれか。
1.呼気時に横隔神経の活動電位が生じる。
2.迷走神経が亢進すると気道抵抗は低下する。
3.肺コンプライアンスが増加すると機能的残気量は減少する。
4.pHが上昇すると酸素はヘモグロビンから解離しやすくなる。
5.呼吸商は単位時間あたりの二酸化炭素産生量と酸素消費量の比である。
+ 解説
解答:5
解説
1.横膈神経は横隔膜を支配します。横隔膜は吸気に作用するため、呼気時には横膈神経に活動電位は生じません。
2.迷走神経は副交感神経を含むため、迷走神経が亢進すると副交感神経の機能が優位になります。副交感神経が優位になると気管支は収縮して気道抵抗は上昇します。
3.肺コンプライアンスは肺の拡張のしやすさの指標です。肺コンプライアンスが増加すると肺は拡張しやすくなります。機能的残機量は
4.アシドーシス(pH低下)やCO2上昇、体温上昇などにより酸素解離曲線は右方移動して酸素がヘモグロビンを解離しやすくなります。
5.呼吸商(respiratory quotient:RO)はCO2量/O2量で求めることができます。ROは代謝される栄養素により異なり、糖質では1.00、脂質では0.70、タンパク質では0.80です。通常の食事ではこららの栄養素が混合しているのでROは0.83-0.85程度といわれています。
問題64
各臓器と血流量の局所性調節の組合せで正しいのはどれか。
1.骨格筋 ――― 乳酸の蓄積が血管を収縮
2.心臓 ―――― 低酸素が冠細動脈を収縮
3.脳 ――――― 二酸化炭素分圧上昇が細動脈を収縮
4.肺 ――――― 低酸素が細動脈を収縮
5.皮膚 ―――― 交感神経亢進が細動脈を拡張
+ 解説
解答:4
解説
1.代謝産物が増加すると、血流が不足するため血管平滑筋を弛緩して血管は拡張します。血管拡張性の代謝物はH+、CO2、乳酸、アデノシンなどがあります。
2・3・4.血管(肺血管以外)は低酸素になると拡張しますが、肺血管は低酸素になると収縮します。これを低酸素性肺血管収縮といいます。
5.交感神経が優位に作用すると四肢皮膚血管は収縮します。
問題65
ワルファリンの抗凝固作用に拮抗するのはどれか。
1.ビタミンA
2.ビタミンC
3.ビタミンD
4.ビタミンE
5.ビタミンK
+ 解説
解答:5
解説
ワルファリンはビタミンKの作用を抑制することで血栓症を予防します。投与量が多くなると出血性合併症を起こす危険性があります。
問題66
脂質の消化と吸収で誤っているのはどれか。
1.Langerhans〈ランゲルハンス〉島からリパーゼが分泌される。
2.リパーゼは脂質を脂肪酸とグリセリンに消化する。
3.胆汁酸は脂肪酸を乳化しミセルを形成する。
4.ミセルは小腸粘膜で吸収される。
5.小腸で吸収された胆汁酸は門脈を介して肝臓へ運ばれる。
+ 解説
解答:1
解説
ランゲルハンス島は膵臓内に散財する内分泌部です。ランゲルハンス島のA細胞からはグルカゴン、B細胞からはインスリンというホルモンが分泌されます。リパーゼは膵液に含まれる消化酵素で、膵液は膵臓(腺細胞)で産生され膵管を通って十二指腸に分泌されます。
問題67
近位尿細管における再吸収率が最も高いのはどれか。
1.水
2.グルコース
3.水素イオン
4.クレアチニン
5.ナトリウムイオン
+ 解説
解答:2
解説
近位尿細管では水、ナトリウム、カリウム、クロール、リン、カルシウム、アミノ酸、グルコース、尿酸などがほとんどの物質が再吸収されます。特にグルコース、アミノ酸はほぼ100%吸収されます。
問題68
体温の調節機構で正しいのはどれか。
1.体温の調節中枢は間脳にある。
2.体温は午前より午後の方が低い。
3.精神性発汗によって体温は上昇する。
4.体温が上昇すると骨格筋は収縮する。
5.甲状腺ホルモンは熱生産を低下させる。
+ 解説
解答:1
解説
1.体温調整中枢は視床下部にあります。
2.体温は早朝睡眠時に最低で、起床時に上昇を始めます。そして夕方にかけて最高となり夜になると下降します。
3.精神的緊張時にみられる発汗を精神性発汗といいます。この発汗は体温調整には関与しません。
4.運動などにより骨格筋が収縮すると熱が発生します。そのため、体温が上昇した場合は発汗により放射熱を増大させて体温を下げようとします。
5.甲状腺モルモンは全身の代謝を活発にして熱生産を増加させます。
問題69
骨格筋の筋張力で正しいのはどれか。
1.全張力と静止張力の和が活動張力となる。
2.活動張力は筋長が長くなるほど大きくなる。
3.求心性運動では速度が速いほど最大筋張力が大きい。
4.筋張力が一定の場合、短縮速度は負荷が小さいほど速い。
5.求心性運動は遠心性運動より大きな筋張力を発揮することができる。
+ 解説
解答:4
解説
1.活動張力と静止張力の和を全張力といいます。
2.活動張力は静止長付近で最大となります。
3.求心性収縮では収縮速度が速くなるにつれ張力は小さくなります。
5.張力の強さは求心性>等尺性>遠心性の順に大きくなります。
運動学
問題70
肩甲上腕関節の内旋作用をもつのはどれか。
1.棘下筋
2.広背筋
3.小円筋
4.三角筋後部線維
5.上腕二頭筋長頭
+ 解説
解答:2
解説
1・3.棘下筋と小円筋は肩関節外旋・水平伸展に作用します。
4.三角筋後部線維は肩関節伸展・水平伸展と外旋(補助)に作用します。
5.上腕二頭筋長頭は肩関節外転(補助)に作用があります。また、肘関節屈曲と回外(補助)にも作用します。
問題71
膝関節で正しいのはどれか。
1.膝関節は顆状関節である。
2.内側半月はO字状の形状である。
3.外側側副靱帯は屈曲時に緊張する。
4.前十字靱帯は脛骨の後方への逸脱を防いでいる。
5.完全伸展位に近づくと脛骨は大腿に対し外旋する。
+ 解説
解答:1・5(複数の正解があるため複数の選択肢を正解とする:厚生労働省発表)
解説
1.膝関節は蝶番関節に分類されますが、大腿骨内側顆と脛骨内側顆・大腿骨外側顆と脛骨内側顆によって作られる2つの顆状関節が複合した双顆関節に分類する場合もあります。
2.内側半月はC字状、外側半月はO字状の形状をしています。
3.外側側副靭帯は膝関節伸展・内転(内反)、下腿内旋・外旋時に緊張します。
4.前十字靭帯は下腿の前方への逸脱、後十字靭帯は下腿の後方への逸脱を防止しています。
5.膝関節完全伸展位に近づくと下腿は不随意に外旋します。これを終末強制回旋運動(screw-home movement)といいます。
問題72
距骨上面の高さの足関節部と下腿筋との位置関係を図に示す。正しいのはどれか。
+ 解説
解答:2
問題73
成人の正常立位姿勢で正しいのはどれか。
1.仙骨は前弯を示す。
2.腰仙角は約5度である。
3.重心の位置は小児より相対的に頭部に近い。
4.矢状面における重心は仙骨の前方に位置する。
5.矢状面上における身体の重心線は大転子の前方を通る。
+ 解説
解答:4
解説
1.脊柱はS字状の弯曲を示しています。頸部・腰部は前弯、胸椎・仙骨は後弯がみられます。
2.正常な腰仙角は約30°です。
3.重心位置は成長に伴い低くなります。
4.重心は骨盤内で仙骨のやや前方に位置しています。重心位置は測定から計測すると、成人男性は56%、成人女性は55%の位置にあります。
5.側方からの理想的な重心線は、乳様突起(耳垂のやや後方)―肩峰(肩関節の前方)―大転子(ときにやや後方)―膝関節中心のやや前方(膝蓋骨後面)―外果の前方(足関節のやや前方)です。
問題74
運動学習で最も適切なのはどれか。
1.学習初期から二重課題法を取り入れる。
2.学習課題の難易度は高いほど効果がある。
3.療法士の助言は内在的フィードバックである。
4.記憶障害がある場合は試行錯誤学習を適応する。
5.運動技能が向上すればエネルギー効率が良くなる。
+ 解説
解答:5
解説
運動技能はフォーム・正確さ・速さ・適応性の要素に分けて検討されます。フォームがよくなると、与えられた運動課題の遂行に必要とされるエネルギーが減少します。
その他(医学分野・リハ概論など)
問題75
疾患と病因・病理学的変化の組合せで正しいのはどれか。
1.Creutzfeldt Jakob病――――神経変性疾患
2.Parkinson病――――――― 腫瘍性疾患
3.肝性脳症 ―――――――― 感染性疾患
4.多系統萎縮症 ―――――― 脳血管疾患
5.多発性硬化症 ―――――― 脱髄疾患
+ 解説
解答:5
解説
1.異常プリオン蛋白質が脳内に蓄積する疾患をプリオン病といいます。クロインツフェルト−ヤコブ病は孤発性に発症するプリオン病です。
2.ドパミンを産生する黒質(中脳)の神経細胞の変性・脱髄により発症します。
3.急性肝不全に伴う脳症状を肝性脳症といいます。
4.運動失調を呈する疾患群を脊髄小脳変性症といいます。多系統萎縮症は孤発性脊髄小脳変性症で、脊髄性運動失調・パーキンソン症候群・自律神経障害を主徴とする疾患です。
5.多発性硬化症は自己免疫性の脱髄疾患です。